不動産鑑定士・税理士 沖田豊明の広大地評価レポート
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広大地評価した事例
2014年2月

確定申告もはじまり、先生方も忙しさが増していることと存じます。忙しい合間の骨休めに、当レポートをご覧いただければ幸いです。
さて、今回は、ご支援先の税理士の先生より相談を受け、当事務所が広大地評価した事例をご紹介したいと思います。


 事実事項から確認しますと、対象不動産は、東京都内(23区外)で、最寄駅から約950m(徒歩12分)に存し、駐車場の敷地として利用されている全体地積約2,052平方メートルの土地でした。対象不動産の周辺には分譲マンションが複数認められ、市場分析の結果、1,500平方メートル程度であれば、マンション適地と成り得る地域に属しているものと判断されました。


所在地 東京都●●市 用途地域 準工業地域
指定容積率200%
最寄駅への距離 950m(約12分) 地目利用区分 雑種地 自用地面積
面積 土地:約2,052平方メートル 接道長さ 7.3m
(自己所有提供地含む)

 ただし、当レポートをお読みになられている税理士の先生ならご存知の通り、東京都内で建物を建築する場合には、東京都建築安全条例(以下「建築条例」)に沿うようにしなければいけません。

 建築条例によれば、第9条において共同住宅、すなわち、マンションは、特殊建築物に規定されています。そして、特殊建築物については、建築条例第10条の3において、道路に接している長さによって、敷地に建築できる特殊建築物の床面積が規定されています。

第十条の三特殊建築物の敷地は、その用途に供する部分の床面積の合計に応じて、次の表に掲げる長さ以上道路(前条の規定の適用を受ける特殊建築物の敷地にあっては、同条の規定により接しなければならない道路)に接しなければならない。ただし、建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める場合は、この限りでない。
特殊建築物の用途に供する部分の床面積の合計 長さ
五百平方メートル以下のもの 四メートル
五百平方メートルを超え、千平方メートル以下のもの 六メートル
千平方メートルを超え、二千平方メートル以下のもの 八メートル
二千平方メートルを超えるもの 十メートル

 すなわち、対象不動産は規模だけを見れば、マンション適地の可能性が非常に高い土地ではありますが、間口狭小の大規模地であることから、建築条例第10条の3の規制による影響を大きく受けることになります。つまり、対象不動産が前面道路に接している長さは7.3mですから、現況を所与とした場合、ボリュームが1,000平方メートル以下(1,000平方メートル÷2,052平方メートル=48.732943469・・・・・%)の建物しか建築できないこととなります。

 つまり、分譲マンション業者が対象不動産を仕入れて、開発分譲をしたとしても、「建築条例第10条の3」との関連において、投資採算の合うような販売戸数を確保することは困難であり、高度利用が可能な敷地上に建設された周辺地域内のマンションと比較して、建物品等に劣るマンションを建設せざるを得なくなる等、エンドユーザーから選好性の弱いマンションを分譲することになります。なお、戸建分譲を想定した場合、下図のような形で合理的に区画割することができます。

 以上により、対象不動産においては、マンション分譲を想定するよりも、戸建分譲をするほうが、現実的であるものと考えられ、税務上の広大地の適用が可能と判断しました。


 このように、一見してマンション適地と判断されるような土地であっても、各種の法律、条例等を精査することにより、広大地として申告ができる場合がありますのでご注意下さい。

 当事務所では、広大地の証明に限らず、相続税土地評価における考え方等のアドバイスも行っております。お電話のほか、FAX、Eメールでの相談も受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。






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