不動産鑑定士・税理士 沖田豊明の広大地評価レポート
レポート一覧はこちら

平成25年の地価公示についての変更点
2013年8月

いつも当レポートをご愛読頂き、ありがとうございます。
今回は、3月のレポートにてご紹介した平成25年の「地価公示」についての変更点についてご紹介したいと思います。


 本年3月発行のレポートにてご紹介した地価公示ですが、今回変更点がありましたので、簡単にご紹介します。

 地価公示とは、国土利用計画法による土地取引の規制を適正かつ円滑に実施するため、国土利用計画法施行令第9条に基づき、国土交通省が毎年1回全国の「標準地」について不動産鑑定士等の鑑定評価を求め、これを審査・調整し、一定の基準日(1月1日)における時価を公表するものです。

 この標準地としては、その標準地が存する地域における標準的な利用状況・価格水準を反映する土地が選定される為、当該標準地の用途・規模等は、広大地評価の適用における「その地域」の標準的な利用方法を把握する上で有力な手掛かりとなるものといえます。

 従来、標準地は、住宅地・商業地・工業地・準工業地・宅地見込地・調整区域内宅地・現況林地に分類されていましたが、この度の地価公示から準工業地・調整区域内宅地のカテゴリーが廃止され、これらのポイントは住宅地・商業地・工業地のいずれかに改めて分類されることとなりました。今回は廃止された準工業地について詳しく触れたいと思います。

 準工業地の定義は、「(前文省略)準工業地域内において、居住用もしくは商業用の建物又は工場等の敷地の用に供されている土地」というものでした。すなわち、準工業地とはいいながらもその実質は住宅系・商業系・工業系のものが混在しており、今回の制度変更によって、用途区分がより明確化されたといえます。

 なお、弊所所在地である川口市では、平成24年の地価公示における準工業地18地点のうち、平成25年の地価公示において16地点が住宅地に、1地点が工業地に再分類され、1地点は廃止されました(下の表をご参照ください)。

H24標準地番号 H25標準地番号 振分け後の用途
川口7−1 川口−81 住宅地
川口7−2 川口−82 住宅地
川口7−3 廃止
川口7−4 川口−84 住宅地
川口7−5 川口−85 住宅地
川口7−6 川口−86 住宅地
川口7−7 川口−87 住宅地
川口7−8 川口9−4 工業地
川口7−9 川口−88 住宅地
川口7−10 川口−89 住宅地
川口7−11 川口−90 住宅地
川口7−12 川口−91 住宅地
川口7−13 川口−92 住宅地
川口7−14 川口−93 住宅地
川口7−15 川口−94 住宅地
川口7−16 川口−95 住宅地
川口7−17 川口−96 住宅地
川口7−18 川口−97 住宅地

 このうち、住宅地へと再分類された川口−85(旧川口7−5)については、以下の住宅地図からも分かる通り、その周辺に工場用途の不動産と住宅用途の不動産が混在しています。


 このような地域に存する土地については、その標準的使用に悩むところですが、標準地の用途が「準工業地」から「住宅地」となったことにより、当該地域の標準的使用は住宅であることがより明確となりました。

 したがって、このような地域に存する大規模な敷地についてもまた、住宅系の利用がなされるものと考えられ、最有効使用は工場用地としての利用ではなく、住宅用途(マンション・戸建分譲素地)となると考えることができます。すなわち、このような地域における大規模画地については、明らかにマンション適地とはいえず、開発に際し道路等の公共公益的施設の負担を要することを説明できれば、広大地が適用できる可能性が高いのです。

 なお、現在工業・商業系の用途となっている標準地の周辺地域でも、地域の動向等を勘案して広大地が適用できる場合(標準地の用途が実態にそぐわない場合等)もありますので、広大地の適用を迷われるような大規模地がある場合には、お気軽にご相談ください。






▼ 広大地評価・判定の詳しい情報はこちらをクリック! ▼
沖田不動産鑑定士・税理士事務所