不動産鑑定士・税理士 沖田豊明の広大地評価レポート
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平成23年12月改正、更正の請求と更正の申出
2012年3月

いつも当レポートをご愛読頂き、ありがとうございます。
今回は、平成23年12月2日に改正された「更正の請求」とこれに伴い整備された「更正の申出」を紹介します。


■「更正の請求」の改正内容

 申告書を提出した後で計算誤り等により、実際より多い税額を申告していた場合には、「更正の請求」の手続きにより訂正を求めることができます。この「更正の請求」ができる期間が改正され、相続税は法定申告期限より5年以内、贈与税は法定申告期限より6年以内に延長されました。

平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税(資産税のみ抜粋)
税目 改正前 改正後
相続税 1年以内→ 5年以内
贈与税 1年以内→ 6年以内


■「更正の申出」の整備

 上記の改正は、平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する場合に適用されます。平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来する場合、「更正の申出」の手続が整備されました。「更正の申出」がで きる期間は、相続税は法定申告期限より3年以内、贈与税は法定申告期限より6年以内となります。

平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来する国税(資産税のみ抜粋)
税目 更正の請求 更正の申出 嘆願
相続税 1年以内 3年以内 3年超〜5年以内
贈与税 1年以内 6年以内

・「更正の申出」の具体例
平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来する場合


 平成20年9月1日に相続が発生した場合、更正の請求期限は平成22年7月1日、更正の申出期限は 平成24年7月1日となります。


■税務署側の期間も延長

 今回の改正により、納税者側の期間が延長されましたが、同時に相続税に関する税務署側の増額更正できる期間も3年以内から5年以内に延長され、双方の期間が平等になった事も留意すべき事項です。

・税務署長等の手続き
税目 手続き 改正前 改正後
相続税 増額更正 3年以内→ 5年以内
減額更正 5年以内
贈与税 増額更正 6年以内 6年以内
減額更正


■更正の申出期限までに行うべき事項

 更正の申出期限までに、(1)必要書類を税務署に提出すればいいのか、(2)税務署長により是認・否認を決めてもらう必要があるのか、実務上把握しておきたいポイントとなります。

 更正の申出の場合、期限までに必要書類を税務署に提出する必要はありますが、是認・否認は更正の申出の期限後に決めてもらうことができます。



 つまり、平成20年9月1日に相続が発生した場合、法定申告期限の平成21年7月1日から3年以内の平成24年7月1日までに必要書類を税務署に提出すればよいことになります。

 予定されていた相続税の遺産に係る基礎控除額等の税制改正はいったん見送られましたが、昨今の増税路線を考えれば税制改正が実施される可能性は高いと考えられます。新設された手続きは実務上の細かい取り扱いが不明瞭な部分もありますので、取り扱いを誤らないようご注意ください。

 また、更正の請求等の期間延長に伴い、還付の可能性がある土地評価や広大地等が発生し、判断に迷われるような案件がございましたらお気軽にご相談ください。






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