不動産鑑定士・税理士 沖田豊明の広大地評価レポート
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地目の異なる畑と雑種地を一体として広大地評価したケース
2011年11月

いつも当レポートをご愛読頂き、ありがとうございます。
今回は、財産評価基本通達7のなお書きの規定を適用して、地目の異なる畑と雑種地を一体として広大地評価したケースをご紹介したいと思います。


財産評価基本通達写し

なお書き規定の適用の留意点としては、後掲の事例(1)〜(4)の示すように宅地以外の異なる地目においては、一体評価出来ますが、宅地と宅地以外の地目については、例え事例(1)〜(4)の示す場合であっても、一体として評価することができません。

概略図 左図のような土地がありました。対象不動産は、西側部分が畑及び南側部分が雑種地(駐車場)として利用されていました。

 ただし、対象不動産の南側に存する道路状の敷地は、市道及び建築基準法の認定を受けていませんでした。つまり、当該部分は道路形態をした「民地」である(路線価は敷設されている。)ことから、南側の駐車場(雑種地)部分については、建築基準法上の道路に接面していないこととなり、したがって、建築基準法上は「無道路地」となります。

 なお道路形態をした民地についての取扱については、担当部署に問い合わせたところ、即座に、当該部分のみを道路提供し、建築基準法上の道路として認定することは不可能であり、隣地の開発行為と一緒に新設道路として開発区域に含めることにより、はじめて、道路提供が可能になるとのことでした。

 財産評価基本通達7なお書き(上掲財産評価基本通達写しの4行目以降)の具体例としては以下のようなものがあげられ、このような場合には、農地、山林及び雑種地の全体を一団として評価することが、合理的であると考えられます。

事例(1)〜(4) 本件は、事例(4)に類似する(山林部分を雑種地に変更すると更に類似。)パターンとなり、よって、駐車場を単独の評価単位とすると建築基準法上、「無道路地」となることから、上記なお書きの規定により、一団の土地として評価することが合理的と判断され、畑と駐車場(雑種地)との一団地を評価単位として、広大地評価の適用をおこなうことが妥当であると考えられます。

 また、一体として評価することにより、広大地補正率との関連において、各土地ごとに評価するよりも評価額が下がることから、節税メリットも大きくなります。

 本件のこのような道路に関する事実は、市区町村役場においての調査により発覚しました。このような特殊な事例においては、専門的な知識や経験を必要とすることがあり、財産評価基本通達にどのようにあてはめるのか、判断に迷うこともあるかと思います。

 本件では、畑部分につき広大地が適用できることは、容易に判断できますが、駐車場部分については、前面の道路形態をした民地に路線価が付設されているため、そのまま、当該路線価を使ってしまうこともありえます。この場合、当然に高い評価額なってしまいます。土地評価に関してお困りなことがありましたら、ご一報いただければと思います。

開発想定図


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