2010年11月
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いつもご愛読頂き、ありがとうございます。
今回は、ご支援先の税理士先生より相談を受け、当事務所が評価単位と広大地適用面積について検討し、広大地評価した事例をご紹介したいと思います。 |
事実事項から確認しますと、評価対象地は、埼玉県内で、最寄駅から約340m(徒歩5分)に存し、被相続人のご自宅のほか、月極駐車場や戸建の貸家の敷地として利用されている全体地積約1,000平方メートルの土地でした。最寄駅から5分圏内と至近距離であり、かつ、周辺には分譲マンションも見られたため、当事務所の「広大地調査報告書」を添付して頂くことになりました。
所在地 |
埼玉県●●市 |
用途地域 |
一中高
指定容積率200% |
最寄駅への距離 |
約340m
(約5分) |
地目
利用区分 |
宅地・雑種地
自用地 |
地積 |
合計約1,000平方メートル |
標準画地 |
100平方メートル |
標準的使用 |
一般住宅の敷地 |
相続時点 |
平成22年 |
この案件でまず問題となったのは、評価対象地の評価単位と地積をどう考えるかという点でした。
当事務所で現地調査及び役所調査を行ったところ、評価対象地は、幅員約3mの市道(42条3項道路 ※同市では2項道路のセットバックが中心後退3mと定められているが、当該道路は中心後退2mの42条3項道路に該当した)に接面している一団の土地で、被相続人やこの道路に接面する駐車場の利用者は当該道路から出入りをしておりました。
左記の「利用区分図」の通り、(1)は被相続人の自宅、(3)(4)は戸建の貸家でしたが、長期間の空家及び相続人が使用貸借で居住しており、つまり、(1)(3)(4)については宅地(自用地)として利用されているものと考えられました。また、(2)(5)については月極駐車場となっており、雑種地(自用地)として利用しているものと考えられました。
一方で、(6)(7)は市道の延長上にある通路で、各利用区分で共用される形となっていました。
問題はこの共用となっている(6)(7)の通路をどう扱うかという点ですが、当事務所では、各利用区分の面積で按分することが合理的であると判断し、今回、広大地の適用対象となった宅地(自用地)の【評価単位の地積】及び【評価する部分の地積】は、下記のとおり計算しました。
【評価単位】 |
(1)+(3)+(4)+(6)+(7) |
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=550平方メートル+100平方メートル+100平方メートル+25平方メートル+25平方メートル=800平方メートル |
【評価部分】 (1)+(3)+(4)+〔(6)×((7)+(4))/((1)+(2)+(4)+(5))〕+〔(7)×(1)/((1)+(5))〕 |
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=550平方メートル+100平方メートル+100平方メートル+19.12平方メートル+21.15平方メートル=790.27平方メートル |
つまり、広大地の判定は【評価単位】の地積800平方メートルをベースとして行い、最終的に掛ける地積は【評価部分】の790.27平方メートルとなります。参考までに広大地の算式を示しますと、下記のとおりとなります。
前面路線価 ○○千円×(0.6−0.05×800平方メートル/1,000平方メートル)×790.27平方メートル=○○○千円
広大地適用の判断については、以下のとおり行いました。
評価対象地の敷地規模800平方メートルは、分譲マンションの敷地としては小さく、また、指定容積率は200%であったものの、前面道路の幅員との関係から、基準容積率は160%に制限され、高度利用と呼べるほどの建物を建設することは困難であったため、周辺の利用状況や相続時点現在の市況から考えて、『分譲マンション適地』に該当せず、評価対象地の最有効使用は『戸建分譲用地』であると判断されました。
但し、開発想定図の作成に当たっては、若干の注意が必要とされました。評価対象地が接面する市道は、前記のとおり、建築基準法上の道路に該当するものの、42条3項道路であったため、戸建分譲を行うためには42条1項1号道路を接続先とし、当該3項道路を開発道路に取り込んだ上で、評価対象地を貫通し、水路(暗渠)に至る開発道路を設置する必要がありました(右記「開発想定図」参照)。
個人の戸建住宅地の売買市場において、分譲販売するに当たり、最も重要なことは、「地域の標準的画地規模」及び「一画地の総額を地域の総額としての価格水準」に合致させることですが、本件開発想定図の区画割後の地積も100〜130平方メートル程度で、全ての画地がこの地域における規模及び総額としての価格水準を満たしており、また、形状も全ての画地が略整形地となることから、早期の売却が期待できると考えられるため、この点から見ても合理的・経済的な区画割であると言えます。
先生方に相続税土地評価のセカンドオピニオンを求められ、確認して見ると、評価単位を誤ったままに、広大地の適用の可否を判断してしまっているケースが度々見受けられます。また、折角、不動産鑑定士や測量士等に開発想定図面を作成してもらっていても、元々の評価単位が誤っていては、その図面は意味を成しません。さらに、開発指導要綱や条例等の法令や市場の実態に沿っていない図面も問題外です。
当事務所では、広大地の証明に限らず、相続税土地評価における評価単位等のアドバイスも行っております。お電話のほか、FAX、Eメールでの相談も受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。
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