2010年2月
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今回は、基本に戻って評価の原則のうち「評価単位」についてご確認いただきたいと思います(評基通7関係)。 |
相続税・贈与税の課税財産の評価においては、個々の財産の種類に応じた評価単位ごとに評価し、その評価額 の合計額をもって取得する財産の価額とする「個別評価方法」によることとされています。
相続においては様々な種類の財産を取得する可能性がありますが、今回は「土地」についての基本的なお話をさ せていただきます。
土地の種類 |
評価単価 |
宅地(評基通7−2(1)) |
1画地の宅地(利用の単位となっている1画地の宅地)
※必ずしも1筆の宅地とは限らず、2筆以上からなる場合や、1筆の宅地が2画地以上の宅地として利用されている場合もある。 |
農地(評基通7−2(2)) |
原則として、1枚の農地(耕作の単位となっている1区画の農地)
※必ずしも1筆の農地とは限らず、2筆以上からなる場合や、1筆の農地が2枚以上の農地として利用されている場合もある。 |
山林(評基通7-2(3)) |
原則として、1筆の山林 |
原野(評基通7−2(4)) |
原則として、1筆の原野 |
牧場及び池沼
(評基通7−2(5)) |
原野に準ずる評価単位 |
鉱泉地(評基通7−2(6)) |
原則として、1筆の鉱泉地 |
雑種地(評基通7−2(7)) |
原則として、利用の単位となっている一団の雑種地(同一の目的に供されている雑種地)
※いわゆる「未利用雑種地」についてはその全体を一団の雑種地として評価 |
上記各土地のなかで、特に評価の単位が問題とされるのは「宅地」と[雑種地]です。今回は宅地について、以下図例を見ながら検討したいと思います。
図1のような場合、一見すると利用の単位は居宅と店舗は別々の用途に供されているため、評価単位も別々になるのでは?と思うかもしれません。しかし、この場合は注意が必要です。それぞれの建物が自用(又は使用貸借による貸付)である場合には、土地に他人の権利による制約がないことから、A・B全体を1画地として評価することになります。
しかし、仮に店舗部分が賃貸の用に供されている場合には、所有者の使用収益を制約する他人の権利が存することから、評価単位は別々ということになります。
図2は、(乙)所有の土地と(丙)所有の土地を一括して(甲)が借り受け、借地権を設定している場合です。この場合は評価する対象ごとに被相続人が(甲)(乙)(丙)のいずれに該当するかで評価単位が異なってきます。
評価対象が(甲)の有する借地権である場合には、A・Bを合わせて1画地として借地権を評価します。これは(甲)からみるとA・B一体として利用しており、利用の単位は1つであるからです。
一方、評価対象が土地所有者の(乙)、(丙)である場合には、A・Bそれぞれの土地を別々に評価します。これは(乙)、(丙)からみれば、それぞれが(甲)と土地賃貸借契約を締結し賃貸の用に供され、その処分権等はお互いに影響を及ぼすことはないからです(ただし、不合理分割等と認められる特段の事情がある場合には別の判断がされる場合もありますので注意が必要です)。
図3は不合理分割の例です。A・Bが1画地であった土地について、図のような遺産分割を行った場合、本来であれば取得者ごとに評価すべきA・Bの土地を合わせて1画地として評価することになります。これは図のような分割を行うとB土地については分割により無道路地となり、宅地としての通常の利用が著しく困難となります。このような状態を意図的に作出した場合には、課税の公平上、そのことによる減額を評価上行わないこととされています。
一方、図4の様に分割すれば、分割後においてもB土地単独での利用が可能となります。このような分割は不合理には当たらないため、A・Bそれぞれの土地を1画地の土地として評価することになります。
今回は基本的な4例を検討してみましたがいかがでしたか?評価単位の判定を誤ると相続税額が大きく変わってしまう場合がありますし、分割の仕方によっては広大地が適用できなくなり、思わぬ高額な税金が発生することにもなりかねません。しかし、これを裏返せば分割のやり方次第では合理的に節税を行うことも可能であるということす。
また、先生方も相続税の申告に当たっては、どうしても路線価等に基づく財産評価では斟酌しきれず、土地の評価額が高いのではないか?ということで、不動産鑑定士に鑑定評価を依頼することもあるかと思います。しかし、評価単位を誤った鑑定評価は、評価書の内容以前に課税庁側に検討してもらえないことも考えられますので、依頼に当たっては、先生方が内容を十分に検討し、依頼先の不動産鑑定士にも理解してもらう必要があります。
評価単位には判断が困難なものも多数あります。実際には正解がない場合も少なくありません。当事務所では少しでも合理的な判断ができるよう、多数の事例の検討を行っております。判断が困難な事例がありましたらぜひ当事務所へご相談ください。
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