企業価値評価の基礎


企業価値の重要性


 「企業価値」と聞いて、あなたは何を思い浮かべるでしょう?

 上場企業ならいざ知らず、いわゆる中小企業である自分の会社には関係ない、と思ってはいませんか?

 「企業価値」という言葉は、新しい言葉のように感じられるかもしれませんが、最近になって急に出てきたものではありません。これまでにも「総資本経常利益率」、「ROE」など、その時々に合った企業価値と言われる指標が作られており、時代や価値評価を必要とする人の立場によって「企業価値」のモノサシは変化しています。

 また、企業価値というと、前述したように上場クラスの大手企業に対するもの、というイメージが強くあるのではないでしょうか。

 確かに上場企業の場合、株式時価総額というマーケットのモノサシがあり、M&AやTOBの際の売買価格は、このモノサシを基に決められます。株式時価総額が大きいほどM&A時には有利になりますし、一時期よく聞かれた“敵対的TOB”の標的にもされにくくなります。

 そのため、上場企業は自社の株式時価総額をできるだけ大きくしようとするのです。

 しかし未公開企業や中小企業には、株式時価総額というモノサシが存在しないため、企業価値は計算によって求めるしかありません。また中小企業では売上や資産保有に偏った経営の企業がいまだに数多くあり、次のような中小企業経営者が多く見受けられます。

・自社の価値を把握していない
・価値という概念を理解していない、または誤解している
・価値に無関心

 しかし、いまや「企業価値」はM&A関係者や大企業だけのものではありません。


「企業価値」の4つの視点

 「企業価値」と一口に言っても、以下のような4つの視点があるといわれています。

(1)金融機関にとっての「企業価値」
(2)相続や事業承継関係者にとっての「企業価値」
(3)事業買収・売却(M&A)の関係者にとっての企業価値
(4)投資家にとっての企業価値

 まず(1)の「金融機関にとっての企業価値」。資金調達をほぼ間接金融に依存している中小企業にとって、取引金融機関が自社をどう見ているかという(1)の視点が、絶対に度外視できないポイントであることは言うまでもありません。

 次に(2)の「相続や事業承継の場面における企業価値」はどうでしょうか。人間の命が永遠でない以上、会社をできるだけ永く存続させていくためには、「相続」や「事業承継」という局面を避けて通ることは出来ません。たとえ今がその時期でないとしても、遅かれ早かれ必要になる時がやってきます。

 では(3)はどうでしょう。「M&Aなんて関係ないよ」と思っている方は多いかもしれませんが、近年、中小企業の後継者難が深刻化しており、前出の「事業承継」において、従来のような親族間承継ができず「事業売却」という手段を採るケースが増えているのをご存知ですか。つまり、M&Aはいまや中小企業にとって無縁ではなくなっており、その意味で中小企業にとっては(3)の視点も不可欠になっているのです。(実際、20年以上前にはほとんどの企業が親族に事業を継がせていたのに、最近は親族間継承が6割程度に減少、一方でM&Aを含む親族外への承継が増えているとの調査結果もあります)

 そして最後の(4)。中小企業の場合、会社を株式単位で評価する必要に迫られるのは(2)の相続・事業承継といった局面が多いと思われますが、中小企業の大半が出資者(投資家)=経営者ですので、結局のところ、この視点は(2)に包含される形で必須、と言えるでしょう。


 いかがでしょうか?

 「企業価値」が大企業だけでなく、中小企業にとっても必要な評価・観点であることはご理解いただけたかと思います。


 では、その「企業価値」。

 どのように評価・算出すればわかるのでしょうか?


 次のコラムでは、TDB企業価値評価サービス「Value Express」でご提供する「企業価値」の算出方法について、その中心となる「事業価値」とその中心的要素である「キャッシュフロー」を解説していきます。


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