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2)経営者個人の生涯手取り所得

 個人や家族の生活のための原資である収入は,企業からの支給金額も重要だが,それ以上に税額等を控除した後の手取り収入が重要である。その手取りの多寡が,実際の生活原資となるものだからである。そこで,たとえば在任年数15年の社長のケースで考えてみよう。

 企業が経営者に15年間役員報酬月額100万円を支払った場合には,その経営者個人からみると毎年1200万円,総額1億8000万円が給与所得の収入金額として扱われ課税されることになる。

 給与所得控除および各種所得控除を表1のように仮定すると,課税対象は同じく表1のようになる。

表1
  収入金額 所得控除 課税対象
給与所得 1200万円 給与所得控除   230万円
(1200万円×5%+170万円)
各種所得控除 120万円※など
総計 350万円
850万円
※ 各種所得控除はひとつの例

 課税対象が850万円であるから所得税は,「850万円×所得税率23%−速算控除63.6万円=131.9万円」。

 この結果,131.9万円が税額となる。

 税率などの変化がないと仮定して計算すると,この税額を15年間毎年支払うことになるので「131.9万円×15年=1978万5000円」が15年間にわたる所得税額累計である。

 なお住民税については,前年所得課税であり,また各種所得控除も異なるので厳密ではないが,仮に同様の所得金額と仮定して考えると住民税所得割の税率は10%(道府県民税4%+市町村民税6%)であるから「850万円×10%=85万円」,同様に15年累計では「85万円×15年=1275万円」となる。

 したがって生涯手取り収入は,1億4748万5000円(収入1200万円−所得税額131.9万円−住民税85万円)×15年=1億4746万5000円)ということになる。



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