2)退職所得控除とは
退職所得控除額は,基本的に勤続年数によって増加する方式が採られているが,その規定は以下のとおりである。
(1) |
勤続年数20年以下
退職所得控除額=40万円×勤続年数
ただし,80万円未満の場合は80万円が下限となっている。
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(2) |
勤続年数20年超
退職所得控除額=70万円×(勤続年数−20年)+800万円
勤続年数に1年未満の端数がある場合は,1年として計算する。 |
また,障害者になったことを直接の起因として退職した場合には,上記の算出方式で計算した金額に100万円を加算することとなっている。
結局,退職所得控除は,勤続年数20年までは1年あたり40万円,20年を超えると1年あたり70万円となっており,いずれにしろ長期勤続を優遇した内容と考えることができる。
退職所得控除額を節目となる勤続年数を例に表にして整理しておこう。
表1
勤続年数 |
退職所得控除額 |
勤続年数 |
退職所得控除額 |
2年以下 |
80万円 |
30年 |
1500万円 |
10年 |
400万円 |
40年 |
2200万円 |
20年 |
800万円 |
50年 |
2900万円 |
退職所得控除の考え方は,長期勤続を優遇するという意味で日本の雇用慣行の一つである終身雇用制=長期雇用慣行に適合的なものだ。
このため,特に1990年代後半以降,この長期雇用慣行が一部で崩れてきたとの認識から,見直すべきとの考えもあるようである。
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