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6)死亡による退任の場合

 支払う企業の損金算入限度の目安としての功績倍率により算出した退職慰労金額は,生存による場合も死亡による場合もそれ自体計算が変わるわけではない。

 ただし死亡の場合には,退職慰労金とは別に弔慰金を支払う場合がある。

 この弔慰金については,遺族が受け取る場合の相続税非課税財産の額があり,基本的にはその額までは企業サイドも損金算入できると考えられる。弔慰金の相続税非課税財産は表6のようになっている。

表6 【弔慰金の相続税非課税財産】
死亡の要因 非課税取り扱い金額
業務上死亡 最終報酬月額×36ヵ月
業務外死亡 最終報酬月額×6ヵ月

 仮に,在任年数20年で死亡により退任と仮定した場合,先に挙げた退職慰労金に6480万円,弔慰金として(業務外死亡と仮定)「最終報酬月額150万円×6ヵ月=900万円」の,合計7380万円を遺族に支払うとすると,表5にある金額で保険を利用していたとすれば,長期平準定期保険に1億4300万円,逓増定期保険には経過20年段階で1億3750万円ということであるから,どちらも十分その金額を満たしていることになる。

 次章は退職慰労金を,受け取った個人の観点で税務や実質受取額などについて取り上げることとする。



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