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3)退職金を払う際の企業サイドの影響

 経営者=社長が退任する際,その企業が退職金を支払うためには,当然ながらその財源が必要である。さらに退職慰労金は,一定の基準までは損金算入されるため,その分利益がなければ赤字になる。経営者が退任するから退職慰労金を払う,しかしそのために赤字決算になってしまうというような可能性についても事前検討の範囲になるだろう。

 また逆に,どれだけ企業として余裕があったとしても,過大な退職金の支払いは,税務的な観点からは,損金への算入が認められない。そこで,どの程度の退職慰労金までが損金算入可能なのかを確認しておこう。

 法人税法施行令第70条の2において,過大な役員退職給与について次のように規定されている。

「二  内国法人が各事業年度においてその退職した役員に対して支給した退職給与の額が,当該役員のその内国法人の業務に従事した期間,その退職の事情,その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する退職給与の支給の状況等に照らし,その退職した役員に対する退職給与として相当であると認められる金額を超える場合におけるその超える部分の金額」

 上記の「退職給与として相当と認められる金額を超える部分の金額」が損金として認められないということになる。

 しかし,この法人税法施行令第70条の2に規定されている「認められない金額」,その裏返しである「認められる金額」は,きわめて一般的な表現であり,具体的な算定はこの条文だけでは困難といえる。

 そこで,過去の裁決例などから一般化された方式としてまず挙げられるのが,功績倍率などによる算出方法である。



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