9.法人として経営者にいくらの保険をつけるかを考える
前章まで,事業保障や退職慰労金準備,含み益形成などの観点から,どの保険が妥当かについて主にその考え方を整理してきたが,ある保険が妥当だとしても一体いくらの保険を付保すればよいのだろうか? ここからはその金額設定の考え方をみていこう。
1)経営者の保険の目的からみた全体像
中小企業の経営者に法人として保険を付保する理由を整理すると,概ね表1のようになる。
表1
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死亡に備えて |
生存中および生存退任時 |
事業保障 |
経営者死亡の際の企業の継続性確保のための資金準備 |
取引先の倒産などに備えた含み資産の形成 |
退 職 |
死亡時の退職慰労金・弔慰金準備 |
経営者退任の際の退職慰労金準備 |
表1の枠組みからそれぞれの必要な金額設定の考え方を整理する必要がある。このうち退職慰労金について整理・理解することがここでの目的である。
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