8−2)含み益があるということは 前へメニューへ次へ

2)含み益があるということは

 具体的にみてみよう。たとえば保険料が年払いで500万円と仮定した場合,そのうちの1/2が損金算入,残りの1/2が資産計上の例である。10年経過段階で解約時の返戻金が100%とすると,返戻金は5000万円ということになる。資産計上累計額が保険料累計の1/2であるから2500万円である。その結果,「返戻金5000万円−資産計上累計2500万円=2500万円」が含み益ということになる。資産計上された保険料は,保険料積立金として固定資産に位置づけられているが,その保険契約を仮に解約するとすれば実際の返戻金はその資産計上を超えた金額が返ってくる。

 保険の場合,解約の際の返戻金は現金そのものであるから,現金化することが通常の固定資産(土地や建物など)と比べれば明らかに容易である。

 このようなことから,保険の利用目的の一つとしてこの含み益の確保が考えられるのである。含み益は,その企業にとっては財務体質の強化であり,取引先の倒産などの不測の事態に備える,リスク対策である。そのような観点で保険の利用を想定することができる。

 この利用方法は,先に挙げた単なる節税的な保険利用とは性格が相違する。すなわち節税の場合には,そもそも法人税率が低下すれば節税効果も低下する。しかしこの含み益は,税率の問題と違い,税率が下がったとしても,必要なリスク対策として企業の財務体質を強化する方策となるものだからである。



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