2)逓増定期保険の効果
逓増定期保険の定義と,その中での区分,保険料の税務を確認したところで,実際に数字的な効果をみてみよう。表2の設定は,被保険者50歳(男性),保険期間22年,当初保険金1億円の例である。
表2 [逓増定期保険 加入例]
経過期間 |
1 |
5 |
10 |
13 |
14 |
15 |
20 |
22 |
保険金 |
1億円 |
1億円 |
1億円 |
3.375億円 |
5億円 |
5億円 |
5億円 |
5億円 |
保険料 |
5,331,900 |
5,331,900 |
5,331,900 |
5,331,900 |
5,331,900 |
5,331,900 |
5,331,900 |
5,331,900 |
保険料
累計 |
5,331,900 |
26,659,500 |
53,319,000 |
69,314,700 |
74,646,600 |
79,978,500 |
106,638,000 |
117,301,800 |
返戻金 |
0 |
15,210,000 |
53,570,000 |
66,140,000 |
64,110,000 |
61,200,000 |
27,150,000 |
0 |
返戻率 |
0 |
57.05% |
100.47% |
95.41% |
85.88% |
76.52% |
25.45% |
0 |
損金
算入額 |
2,665,950 |
2,665,950 |
2,665,950 |
2,665,950 |
2,665,950 |
9,182,716 |
9,182,716 |
9,182,716 |
損金算入
累計額 |
2,665,900 |
13,329,750 |
26,659,500 |
34,657,350 |
43,840,066 |
53,022,782 |
98,936,362 |
117,301,800 |
資産計上
累計額 |
900,266 |
13,329,750 |
26,659,500 |
34,657,350 |
3,080,654 |
26,955,718 |
7,701,638 |
0 |
(ある保険会社の例)
保険期間満了時の被保険者の年齢は,50+22=72歳
期間の要件についてみると,50+(22×2)=94歳
このため「1)の表1」では最上段のケースに該当することになる。つまり契約から6割期間は保険料の1/2損金算入,保険料の1/2資産計上となるケースである。
保険金額は当初金額に対して,最終的に5倍の5億円となっているが,増加の仕方をみると11年目から50%複利逓増するタイプであるため,年齢の上昇の過程で該当時期に一気に増加する。したがって,それ以前の,経過10年段階で返戻金÷保険料累計である返戻率は100%を超える水準となっている。
保険料の税務は 当初6割期間である13年目までは
損金算入額 266万5950円
資産計上額 266万5950円
となる。
その後の4割期間である14年目からこのケースの保険期間の最終22年目までは毎年の保険料533万1900円とそれまでの資産計上累計を残期間で除した金額,すなわち,
資産計上累計3465万7350円÷9=385万816円
両者合計の918万2716円が毎年の損金算入額となる。
改めて表2を見ると,経過10年段階で資産計上額2665万9500円に対して返戻金は5357万円であり,その差額2691万円が含み益といえる。しかし,保険金が実際に増加し始める時期(このケースでは11年目から)には死亡率も上がってくるため,その支払いに責任準備金を財源として使うわけであるから,返戻金÷保険料累計である返戻率は次第に減少しはじめる。毎年保険料を支払うわけであるから,率が下がっても返戻金実額はその後13年目までは増加する。しかし,14年目にはいると,返戻金の実額でも減少をはじめ22年段階で0となって保険期間を終了することとなる。
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