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3.定期保険の税務 〜定期保険と長期平準定期保険〜


 定期保険は,一定の期間において被保険者が死亡ないし高度障害になったときにのみ保険金が支払われるものである。長期平準定期保険も最後に「定期保険」と名前がつく以上,そのことに変わりはない。問題は一定の基準によって通常の定期保険と区分されていることである。両区分ごとの特性や効果を理解することが今回の目的である。その意味でまず定期保険の商品特性と,それによって規定される税務を整理しておこう。


1)定期保険とその税務

 定期保険の保険料の税務は,法人税法基本通達9−3−5において以下のように規定されている。

 「(定期保険に係る保険料)9−3−5 法人が,自己を契約者とし,役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする定期保険(一定期間内における被保険者の死亡を保険事故とする生命保険をいい,傷害特約等の特約が付されているものを含む。以下9−3−7までにおいて同じ。)に加入してその保険料を支払った場合には,その支払った保険料の額(傷害特約等の特約に係る保険料の額を除く。)については,次に掲げる場合の区分に応じ,それぞれ次により取り扱うものとする。(昭55年直法2−15「十三」により追加,昭59年直法2−3「五」により改正)

(1) 死亡保険金の受取人が当該法人である場合 その支払った保険料の額は,期間の経過に応じて損金の額に算入する。
(2)  死亡保険金の受取人が被保険者の遺族である場合 その支払った保険料の額は,期間の経過に応じて損金の額に算入する。ただし,役員又は部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者としている場合には,当該保険料の額は,当該役員又は使用人に対する給与とする。」

 ここでの定期保険は,毎年の保険料と対価としての保障という便益とが対応関係をもって期間を経過していくと想定されている。だからこそ,保険料は期間の経過とともに損金で処理できる。このような定期保険は,利用するサイドからみると,保険料が安く高額な死亡保障を確保するときに最適な保険ということができる。

 具体例でいうと,50歳男性で保険期間10年,保険金1億円の定期保険の場合,年払保険料は67万2600円である。しかし,解約返戻金を別途必要な際に利用することなどは想定できない。ちなみに,同じ年齢,保険金設定で98歳満了定期保険の場合,年払保険料は255万7000円となっており,水準的に10年定期など一般の定期保険との違いは明らかであろう。

(いずれもある保険会社の例。各保険会社で保険料水準は微妙に違うが,ここでは概要の理解のため1社のみを挙げている)



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