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2)平準保険料と責任準備金

 保険期間10年の死亡保険である定期保険を考えてみよう。仮に50歳男性の社長が被保険者となった場合,保険金を1億円とすると,50歳から10年間にわたって死亡あるいは高度障害になった際に保険金1億円が支払われる。保険料は年払い67万2600円で,10年間変わらない(ある保険会社の例)。

 一方,50歳の人が亡くなる確率(以後,死亡率と表現)は,その後の年齢の上昇とともに(51,52,53,…)高くなっていくはずである(通常,死亡率は,性別,年齢別に1年間で死亡する割合をいう)。

 ちなみに生保標準生命表2007※(死亡保険用)の男性の50歳から59歳までの各1年当たりの死亡率等をみてみよう。

※ 現時点の最新のもの

[生保標準表2007](死亡保険用)
年齢 死亡率 平均余命   年齢 死亡率 平均余命
50 0.00365 30.45 55 0.00567 26.07
51 0.00401 29.56 56 0.00615 25.22
52 0.00440 28.68 57 0.00666 24.37
53 0.00480 27.80 58 0.00718 23.53
54 0.00522 26.94 59 0.00774 22.70

 この表でいうと50歳の場合,死亡率0.00365であるから,10万人の50歳の人がいれば,1年間で365人が亡くなるという意味だ。年齢が1歳増すごとに死亡率が上がっていくことがわかる。なお平均余命は,その年齢の人が平均的にその後,何年生きるかを表したものだ。結局,年齢の上昇とともに死亡率は上がる。しかし,保険料は一定になっている。これはどういうことだろうか?

 通常,生命保険の保険料は,死亡率の低い時期から高い時期にいたる期間を平準化して設定されている。保険期間の前半においてはその時期の死亡率より高めの保険料が設定され,その時期の支払いに充てる部分以外は将来の支払い財源としてとっておく。保険期間の後半,つまり死亡率の高い時期にはその時期の死亡率より低い保険料が設定されているわけであるが,その時期の保険事故に対しては,前半部分において将来の支払い財源としてとっておいた部分を含めて当初の約束の保険金を支払うことができるわけである。

 このように,平準化して設定してある保険料を平準保険料といい,また将来の財源となる部分を責任準備金という。また保険を途中で解約した場合には,この責任準備金を基準に解約返戻金が支払われることになる(図1参照)。

図1 定期保険における平準保険料と責任準備金のイメージ
図1 定期保険における平準保険料と責任準備金のイメージ



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