タナベマネジメントレター

コンサルタンツ・EYE

『クレームは顧客をファンにする』

(2017.3.16)

  経営理念に「顧客満足」を掲げている企業が多いが、改めてその言葉の意味を考えてみたい。顧客満足とは、「提供する価値が顧客の期待を満たした状態」といえる。また期待を超えた場合、顧客心理は感動へと昇華する。逆に、期待まで満たなかった場合は「不満=クレーム」となる。<

 クレームというと否定的な印象を持ちがちだが、本質を考えると「会社の宝」だと捉えるべきである。なぜなら、クレームは「顧客の要望」であり「ニーズそのもの」であるからだ。よって、クレームに対する会社の姿勢によっては、顧客がファンにもなりうる。

 ある日、筆者はタブレットのコネクタを求め家電量販店のA店に赴いた。店員に端末の実物を見せ、これに合うコネクタが欲しいと要望し、商品を購入した。ところが帰社後、端末につなぐことができなかったのだ。

 筆者は落胆のあまり感情的になり、再来店するや否や店員に怒鳴りつけてしまった。すると、店員はすぐさま深々と頭を下げて謝罪した。そして、否定することなく筆者の主張をきちんと聴き、怒りがおさまった頃合いを見計らって解決策を冷静に提示した。

 さらに、その店員はレジへと案内する際に、売場マネジャー・技術担当の店員・レジ店員と迅速にクレームの件を報告し、筆者に対して一人ひとりが謝罪した。筆者もここまでしてもらえるとは夢にも思わず、逆に感動してしまい、「また何か必要なものがあればA店に行こう」と心に決めた。

 クレーム対応には、以下のような重要なポイントがある。

1.まず正面から謝罪する
2.相手の言い分を聴く
3.冷静に解決策を提示する
4.周囲へのスピーディーな報告を行う

 A店では、徹底してクレーム対応の訓練し、クレームに対する考え方を全社で統一しているのではないかと感じた。

 「会社は足元から崩れる」と言われる。しかし、全社員に対する徹底した人材育成により、「顧客満足」という経営理念が“絵に描いた餅”ではなく、“確たるもの”として存在を輝かせることができることを、改めて実感した出来事であった。

以 上

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