タナベマネジメントレター

コンサルタンツ・EYE

『権限委譲〜信じて任せる〜』

(2017.2.21)

 権限委譲はどんな企業でも問題になるテーマである。何をどこまで任せればいいのか、そのために必要な能力はどのように身につけさせ、レベルアップさせていくのか。迷っている企業は多い。

 A社は店舗展開をしていているが、店長に業績管理をはじめ、社員の育成や人事考課も任せていない。「まだそのレベルに達していない」というのが理由だ。

 店長になるには、かなりの業績結果を残さなければなれない仕組みになっている。それであれば「それなりの実力がある」との評価になっているはずである。しかし、権限に関しては実力と切り離された考え方となっている。

 B社は、営業パーソンにお客様への対応や目標設定などを任せている。そのため、会議となると細部までの確認が続く。現場の状況をうまく伝えられない営業パーソンは、会議向けの聞こえの良い発言を用意するようになる。

 いずれの企業も、権限委譲がうまく機能できていない。誰にどんな権限を与えどこまで任せるのか、報告はどのように受けるのかなどが明確になっていないからだ。この曖昧さは社員が戸惑う一因となり、「自分と価値判断が揃っていない」と嘆いていながら、それを揃える努力を怠るケースも多い。

 このような状況では、トップと幹部・社員の間に信頼関係は築けない。組織力の発揮が難しくなるため、「1+1≒2」にはなっても、「1+1=3」にはならない。営業力が業績のカギを握る環境下において、これはライバルに対してかなりのハンディを背負うことになる。

 トップから見れば、幹部や社員はまだ頼りなく、不安に感じるのも仕方ない面はある。しかし、すべてを自分で仕切るのは時間的限界があるし、本来のトップマネジメントが疎かになる。

 幹部・社員との信頼関係を構築し、任せられる・受け入れられる環境を整えていくことが重要なのである。

以 上

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