タナベマネジメントレター

コンサルタンツ・EYE

『モノ(サービス)の提供における3つの考え』

(2017.1.16)

 「消費者満足度」「顧客第一主義」。あらゆる企業で毎日のように使われているこの言葉だが、本当に行動レベルにまで浸透しているだろうか?

 月末、年度末になれば「とりあえず突っ込んどけ!」「納品数量を増やしてもらうように頼んでこい!」といった、お客様を無視した自社都合の発言が社内で飛び交っていないだろうか?

 モノ(サービス)の提供には、大きく3つの考え方が存在している。

1.納品主義

 「売れる・売れない」は二の次で、いかに多く出荷するかを重視した考え方である。納品すれば売上が計上されるため、実際の現場ではよく見受けられる。

 適量を超えた納品は、店頭で無意味に山積みにされ、いかにも売れ残りという雰囲気を醸し出すこともある。商品の良し悪し以前の問題だ。商品の企画開発段階では「顧客第一」であっても、窓口の営業段階で「納品主義」では本末転倒である。

2.店頭主義
 

 「納品後、実際にお客様が購入したかどうか」に重きを置いた考え方である。POSデータ分析をし、需要予測・品揃えなどに幅広く利用されており、「売れ筋・死に筋」といった状況も把握できる。しかし、陥りがちな落とし穴として、「売れた・売れない」で一喜一憂してしまい、表面的な現象しか捉えていない企業が多く見られる。

 ネーミングが良かったり、プロモーションに力を入れることで販売数は上がるかもしれない。しかし、購入後に不満があれば再購入にはつながらないばかりか、購入店やブランドを傷つけることさえある。

3.実現主義
 

 目指すべきは、この「実現主義」という考え方だ。商品購入前後で「お客様の何を変えたのか?何を実現したのか?」に注目する考え方である。

 お客様の何かを実現するためにモノを開発し、それが実現できているかどうかを追いかける、当たり前の行動とも言える。業務活動のすべての価値判断基準をこの考え方に合わせることが重要なのだが、実行となると難しい。

 自社の価値判断基準は、上記のどれに当てはまるのか?今一度、見直しの機会としていただければ幸いである。気がつかないうちに、「納品主義(自社都合の押しつけ)」となってはいないだろうか?

以 上

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