タナベ経営の看板セミナーの一つである幹部社員を養成する幹部候補生スクールが、全国で一斉にスタートしている。これは毎月1回スクールに参加して経営における原理原則を学び、それを社内に持ち帰って実践することを繰り返していくものである。
当スクールの詳細はここでは省略するが、スクールの中で教えることの一つに「リーダーシップの本質とは何か」というものがある。タナベ経営では「“事に及んで今、何が一番大事かの的確な判断”であり、それはトップとの価値観(価値判断基準)の共有でもある」と教えている。
先日、クライアント先の経営者と面談した際に聞いた話である。経営会議でさまざまな議論を行ったが、ほとんどの部門長はその経営者の意見と大きなズレがあった。しかし、この経営会議には参加していないある幹部候補の一人は、この経営者の意見とほぼ同意見であったそうである。
その幹部候補は中途入社であり、早く会社のことを覚えさせる必要があったため、常に経営者と行動を共にしていた。国内の出張をはじめ海外の出張にも随行し、鞄持ちのような役目をしていたのである。
いつも経営者と一緒にいて話を聞いていたので、自然と考え方が似たものになり、価値観も合ってきたのであろう。その後、この会社では部長以上の役職者を対象に半年に一度、一週間のトップ同行を実施することを決めたそうだ。
同じような話を、別の経営者からも聞いたことがある。一昔前であれば、トップを含んだ社員同士が寝食を共にする機会が多くあり、自然と価値観の共有が図れたものである。しかし、昨今の中堅・中小企業の場合、幹部といえば一人何役もの仕事を抱えており、トップと行動を共にすること事態が難しくなっている。
ただ、このような厳しい環境を生き抜くためにも、考え方や価値観のズレは見過ごせない。鞄持ちとは言わない。役員・幹部社員が、トップと寝食を共にするくらい密接する機会を設けてみてはいかがだろうか。
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