コンサルタンツ・EYE
『商社の事業戦略の定石』 現在の商社を取り巻く環境のポイントは、大きく3点ある。 1.市場構造の変化 国内市場の縮小や新興国市場の拡大で、これまで日本が優位を築いていた技術などのコモディティー化(一般化)、円高による為替リスクの拡大などが挙げられる。 2.顧客の変化 内需衰退とグローバル企業や新興国企業の躍進に伴い、日系企業は海外での調達・生産・販売を余儀なくされている。 3.仕入先(メーカー)の変化 競争力強化のための再編や、二次・三次商社を介さない直販化の推進、海外サプライヤーの台頭などがある。 このような環境下で商社が抱えている課題は、再編圧力の高まり、顧客の競争力維持の観点からのコスト削減要請、ジリ貧する二次・三次商社の与信リスク拡大、競争力維持目的の現地調達や顧客の海外生産対応などの海外進出・拡大が挙げられる。 既存の商社ビジネスモデルは崩壊寸前であり、生き残りを図るためには“事業領域(事業ドメイン)を変える”ことが必須といえよう。商社の事業戦略の大きな方向性としては4点考えられる。 1.商材の拡張(品揃えを増やし、既存顧客のインストアシェアを拡大) 2.高付加価値化(ドメイン拡張やITをテコとした徹底的な効率化) 3.再編(競合のM&Aなどによる規模の拡大と効率化) 4.海外展開(海外調達や海外販売を強化) 大手商社は既にそれらを推進して久しいが、中小・中堅商社にとってはどれもハードルが高い。人材力と資金力不足が原因である。しかし、自社のビジネスモデルを変革し儲かる仕組みを作りこんでいかなければ、縮小もしくは撤退を余儀なくされてしまう。 そこで、中小・中堅商社の国内・海外市場における戦略着眼を次に記す。 <国内市場> ・M&Aでの内製化やITを活用したバリューチェーンの“効率化” ・M&Aなどによる川上や川下の取り込みによる“付加価値向上” ・顧客の購買機能代行(内製化)による“利便性向上” <海外市場> ・得意先の海外展開に追随して海外調達を強化 ・海外ユーザー企業の開拓 事業戦略といっても百社百様。これらは一般的な商社の事業戦略の定石ではあるが、参考になれば幸いである。
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