社会福祉法人の会計・経理Q&A


Q44
 予算の弾力的運用(予算の流用、予備費の使用)について、具体的な運用方法を教えて下さい。



A44

(1)予算の流用、予備費の使用に関する会長の承認について

 予算の流用、予備費の使用とも、流用・使用額を流用・使用先の勘定科目の予算額に充当してその予算額を流用・使用後の金額に修正することを前提としているため、会長の承認を得るための「決裁書・伺い書」等には、次のような具体的な記載が必要と考えられます。

 [1] 予算の流用
流用元の勘定科目と流用する金額、および、流用先の勘定科目と充当する金額
 [2] 予備費の使用
予備費の使用先の勘定科目と使用金額


(2)予算の流用、予備費の使用の運用について

 予算の流用、予備費の使用は、予算の弾力的運用のため、「予算の補正」という厳格な手続きを経ずに予算を弾力的に執行することを意味します。
 従来、予算の補正で対応していた事項のうち、予算の流用あるいは予備費の使用により対応できる事項はこれで対応し、対応できない事項のみを予算の補正で対応するという方法が最も妥当なものと考えられます。
 なお、予算の流用のみでは対応できず、予備費を使用する必要がある場合、予算の流用はせずに予備費の使用のみにより対応することも考えられます。
 このような方法で予算の執行に対処することにより、予算の流用あるいは予備費の使用が有用な方法として周知され定着するものと考えられます。


(3)理事会等での説明、計算書類等への表示について

 [1]  理事会等での説明について
 予算の流用あるいは予備費の使用があった場合、資金収支計算書に計上されている予算金額は、理事会等で承認を得ている予算額(補正予算額)に対し、一部の勘定科目の金額が一致していません。
 決算承認理事会等においては、会長の職権により「予算の流用あるいは予備費の使用をした」旨の説明が必要と考えられます。
 具体的な内容の説明をどのように行うかは各法人の任意によりますが、基本的には不要と考えられます。

 [2]  財務諸表等への表示について
 財務諸表等への表示については、会計基準等においても何ら触れられておりません。
 計算書類が外部の利害関係者へも公表されること、これらの外部利害関係者は、法人の内部管理目的で行われる予算の編成、予算の流用、予備費の使用及び予算の補正等に関する経緯を知らないため、予算の流用あるいは予備費の使用があった場合でも、誤解を招かないため、その旨の記載は不要と考えられます。
 なお、資金収支計算書の予算額欄の予備費の金額は、当然ながら予備費の使用後の残額が計上されます。