社会福祉法人の会計・経理Q&A


Q15−2
 平成19年度の税制改正において減価償却制度の見直しが行われたことに伴い、社会福祉法人会計基準においても、残存価額の考え方に変更があったようですが、内容について教えて下さい。



A15−2

 社援基発第0731001号(課長通知、平成19年7月31日)において、社会福祉法人会計基準の一部改正が行われました。
 これは、平成19年度の法人税改正において減価償却制度の見直しが行われたことに伴って、社会福祉法人会計基準においてもその考え方を取り入れたもので、減価償却計算における残存価額を平成19年4月1日以後取得の減価償却資産についてはゼロとするものです。
 改正内容は以下のとおりです。なお、下線が改正箇所、赤字は誤字(格⇒額)です。


(2) 取得価額及び残存価額(改正前)
減価償却資産の評価額は取得価額とする。また、残存価額は、原則として、取得価額の1割とする。

矢印下

(2) 取得価額及び残存価格(改正後)
減価償却資産の評価額は取得価額とする。また、残存価は、以下のとおりとする。
   平成19年3月31日以前に取得した有形固定資産
 有形固定資産について償却計算を実施するための残存価は取得価の10%とする。耐用年数到来時においても使用し続けている有形固定資産については、さらに備忘価(1円)まで償却を行うことができるものとする。
   平成19年4月1日以降に取得した有形固定資産
 有形固定資産について償却計算を実施するための残存価はゼロとし、償却累計額が当該資産の取得価から備忘価(1円)を控除した金額に達するまで償却することができるものとする。
   無形固定資産
 無形固定資産については、当初より残存価をゼロとして減価償却を行うものとする。


 以上の改正内容を踏まえ、経理規程の見直しが必要ですので、以下にモデルを掲げます。


(減価償却)
第○○条 固定資産のうち、時の経過又は使用によりその価値が減少するもの(以下「減価償却資産」という。)については定額法による減価償却を実施する。
2 減価償却資産の耐用年数は、原則として、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(昭和40年3月31日大蔵省令第15号)によるものとする。
3 減価償却資産の残存価額は、ゼロとし、償却累計額が当該資産の取得価額から備忘価額(1円)を控除した金額に達するまで償却することとする。なお、平成19年3月31日以前に取得した有形固定資産については、残存価額を取得価額の10%とし、耐用年数到来後も使用する場合には備忘価額まで償却するものとする。
4 無形固定資産については、第1項及び第3項の規定にかかわらず定額法により残存価額をゼロとして減価償却を実施する。


 なお、平成19年3月31日以前に取得した有形固定資産の残存価額(取得価額の10%)を備忘価額(1円)まで償却するにあたっては、法人税法の考え方を踏襲し、5年間の均等償却を行う方法が一般的と考えられます。