社会福祉法人の会計・経理Q&A


Q11
 3月分の介護報酬について、5月末に入金されるので翌会計年度の収入として計上することはできますか。



A11




 3月に提供された介護サービスに対する介護報酬は、4月10日までに国民健康保険連合会へ請求され、5月末までに入金されます。
 収入の計上時期については、社会福祉法人会計基準注解5(実現主義の原則の適用について)によれば、「役務の提供にかかる事業活動収支計算の収入は、その対価が確定した会計年度に収入を計上する」ことになっています。
 ここで、対価の確定とは、実際の入金額をもって決定されるものではなく、請求額で足りることを意味しています。すなわち、3月分の介護報酬は、5月の入金額により対価が確定するのではなく、3月分の請求時点において請求額により確定します。
 そのため、5月に入金を受ける3月分の介護報酬の計上時期は、実際に入金を受けた日の属する会計年度(翌会計年度の5月分)の収入ではなく、介護サービスを提供した日の属する会計年度(当会計年度の3月)の収入となります。


(総勘定元帳系列の仕訳−損益計算)
借方科目 金額 貸方科目 金額
流動資産 <B/S> <サービス活動増減によ収益> <P/L>
事業未収金 100 介護保険事業収益 100
  介護報酬収益

(資金収支元帳系列の仕訳−資金計算)
借方科目 金額 貸方科目 金額
  <C/F> <事業活動による収入> <C/F>
支払資金 100 介護保険事業収入 100
  介護報酬収入


 介護報酬の請求額と受入額に差額が生じた場合には、未収金残高の修正を行いますが、発生時の未収金が未確定だったのではなく、評価額の修正にすぎません。
 また、介護報酬に加算額の誤りがあり、査定減が生じた場合、「介護報酬査定減」として計上され前会計年度の収入等の修正は必要ありません。


(総勘定元帳系列の仕訳−損益計算)
借方科目 金額 貸方科目 金額
<サービス活動収入> <P/L> 流動資産 <B/S>
介護保険事業収益 未収金
介護報酬査定減  

(資金収支元帳系列の仕訳−資金計算)
借方科目 金額 貸方科目 金額
<事業活動による収入> <C/F>   <C/F>
介護保険事業収入 支払資金
介護報酬査定減  


 ただし、金額が僅少な場合には、直接「介護報酬収入」を減少させる仕訳でも構わないと考えられます。