相続手続き事例
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先を見据えた相続手続が大切
(2011/09/28)

 妻が亡くなったということで、夫と長男が相談に来られました。

 他に二男が相続人でしたが、重度の知的障害ということでした。

 遺産は、3つの銀行の預金のみで、夫と長男が各金融機関の窓口をまわり、相続発生の事実と二男が知的障害者という事を伝えました。

 通常であれば、成年後見人選任の申立てをして選ばれた成年後見人が、特別代理人として遺産分割協議を行った上で手続を行うのですが、3つの金融機関のうち2つは、名義変更・解約手続きの際に、次男の方の形式的なサインと印鑑があれば、手続きができるという回答でした。

 お二人の意向としては、「成年後見制度は費用と時間を要し、成年後見人の負担も大きいので、できれば、成年後見人の申立をしないで手続きを進めたい」ということでしたが、家庭裁判所で行なっている制度がある以上、次男の方を含めたご家族全員の方の利益を考えて、手続きを進めていく必要がありました。

 実務的、例外的にできてしまうことでも、後々にトラブルとなることがあります。

 今回の件で、二男に知的障害があることが金融機関にも知られたことになります。

 母親の相続の手続が例外的にできたとしても、父親の相続時には長男一人での手続きには金融機関も融通をしてくれないでしょう。

 二男自身の、預金を引出したり、何か契約を行うことがあれば、今後父親など代理人の取引を拒むことが多くなってくるかもしれません。

 年々、本人確認や、個人情報の保護は厳しくなってきています。

 二男自身の将来の生活を考えても、事前に成年後見人をつけておくことで、十分な準備期間と、心の余裕が持てることになります。




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