相続手続き事例
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介護疲れで事件
(2011/01/31)

 認知症の父の介護に疲れ、疲れ果てて子供さんが思い余って父を殺めてしまいました。

 相続人は妻と子供2人。子供さんは介護疲れによる心神喪失状態だったとみなされ、起訴されませんでした。

 このような場合、考えなければならないことがたくさんあるのです。そのうちのいくつかを見てみましょう。


1) 父を殺めてしまった子供さんは相続人となるのでしょうか。

 被相続人を殺人、殺人未遂で刑に処せられたものは相続人の欠格となるのです。弁護士に確認したところ、今回は不起訴処分となったため欠格とならないそうです。


2) 相続をする際には相続人全員で遺産分割協議をしなくてはならないのですが、心神喪失状態の子供さんには、事件後保護者が選任されており、遺産分割協議ができるのでしょうか。

 入院中の病院の主治医に判断をお願いし、今回は遺産分割協議を行う能力があるとの判断で、後見人を立てる必要がありませんでした。


3) 被相続人の銀行口座が凍結したことで、妻の生活費がたりません。

 金融機関では遺産分割協議をするか、相続人全員の署名、実印での押印がない場合には、相続預金の解約ができません。子供さんは面会謝絶の入院中であったため、メインバンクと打ち合わせを重ね、法定相続分での払い出しをしてもらいました。


4) 子供さんは、印鑑登録がありませんが、登録に行くことができません。

 今回は委任状をいただき、代理人での登録をしました。


5) 傷害保険の請求に司法解剖所見を提出を要求されましたが、警察、検察ともに、資料を出していただけません。

 弁護士に確認をすると、刑事事件の不起訴事件の資料は公開されないそうです。保険会社から弁護士法23条の2による開示請求をしてもらっても却下されました。結局、家庭裁判所にから届いた『医療及び観察等に関する法律42条1項の決定をすることを求める審判の申立て通知書』内の対象行為の要旨に、傷害を加えた詳細が記載あったため、申立書をもって保険請求をし、満額ではありませんが保険金がおりました。




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