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取引先の不動産登記簿謄本の設定状況を見て、与信判断するポイントは後述の通りです。
金融機関は当該不動産の時価の60%〜70%を限度に融資を行っています。万一、融資した会社が倒産してその不動産を競売にかけた場合、貸付金の全額回収を狙ったものであり、通常よほどの信用がなければ70%をこえる担保設定は行わないものです。 仮に抵当権が過去に続けて設定された記載があったとしても、その後の追加がまったくなされていない場合、その後の借り増しの必要がなかった会社であり、不動産の含みがあればかなりの資金調達力を持った会社といえるでしょう。 逆に担保設定が毎年のように追加されている会社はその会社の売上の増減と回収条件のズレなどに注意する必要があり、その会社の決算書を入手して回収条件と支払条件の分析を行いましょう。 ただし、設備投資の有無にも配慮が必要であり、担保設定の面からだけは結論がだせないことも多々あります。特に本社所在地不動産と社長の自宅不動産の担保設定の確認は必須確認事項になります。
一般に有料で公開されている不動産登記簿は各都道府県の県庁所在地に設置されている地方法務局と県内の地方法務局の支局・出張所に備え付けられています。当該不動産の登記簿などの閲覧や謄本・抄本を入手するには、その不動産登記簿を管轄する法務局に行かねばなりません。 しかし平成12年10月からインターネットでの公開が始まり、当初は東京・大阪・名古屋・広島・福岡・仙台・札幌・高松の各法務局管内ごとに3庁(仙台管内は5庁)の合計26庁でした。平成13年2月には151庁、同年8月頃には172庁が利用可能な登記所は法務省の「サービスを提供している登記所」画面で確認してください。 不動産登記簿の閲覧は1筆ごとの課金になっています。ただし、同一地域にある同一企業の不動産でも、いくつかの町にまたがっている場合があります。ときには100筆以上に分かれていることもありますので、コストと労力を考慮して、土地だけの閲覧に留めたり、代表的地番だけを閲覧して、面積は取引先との会話の中で確認したりしてもよいかと思われます。更に、閲覧しても内容の記憶や転記は大変な作業になるため、「謄本(全体)の申請」を行うのが無難です。これは「抄本」はあくまでも現時点で生きている権利・義務事項が記載されているのに対して、謄本(全体)はすでに抹消された登記事項も記載されているからです。 すでに抹消されている会社の権利・義務の場合、差押え・仮差押え・競売申立・賃借権・その他過去の金融機関からの借入状況などは、与信管理のうえで必要な事項であり、過去からの流れをすべて把握できるという利点もあります。
謄本申請に関して、住所は基本的に申請者本人の住所を記入する(申請人の勤務地の住所でも可能)こと、氏名は原則として個人名を記入すること、印鑑は拇印でも受理されること、インターネットを活用する際には、環境設定は当然のことながら、事前登録が必要になること、などの点で注意が必要です。 次に調査したい不動産を地番で申請しますが、通常、会社や個人の住所は住居表示番号を使用しているため当該不動産の登記地番と一致していない場合が多くあります。正確な登記地番は各法務局に備え付けてある住居表示から登記地番を調べる冊子を利用して調べる必要があるでしょう。調べたい会社の不動産については1度は全筆を取得してみる必要がありますが、2度目は代表的地番1筆で判定可能といえます。 登記簿謄本と共同担保目録を同時に取得する時は、印紙貼り付け欄の欄外に「要共同担保目録」「共同担保目録必要」と記載します。 担保設定が多く打たれている場合は、金額の大きい直近の共同担保目録の番号を指定しなければなりません。 また、遠隔地の不動産登記簿を取得したいときは印紙貼り付け欄に「(株)○○商事所有物件」と記載しておけば申し込むことができます。その際には返信用封筒を同封すること、印紙を多めに同封すること、謄本取得に1週間以上の日時が必要であることなどに注意することを忘れないようにしましょう。 |