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総務・労務情報トップ退職金・中退共[人事]>退職金等の税金
 8.退職金などへの税金
1.退職金とは  2.退職金の算出方法  3.退職金の準備方法  4.退職金共済制度
5.退職金の支払方法  6.弔慰金  7.役員退職金の設定  8.退職金等の税金  9.目的別運用

退職金・年金にかかる税金

 定年退職後は「退職金」と「年金」が主な収入源になります。在職中に比べ大きく収入が減りますが、少しでも老後の生活をゆとりあるものにするためにも、退職金と年金にかかる税金についてある程度の知識は必要です。


●退職金にかかる税金

 退職金は永年の勤労に対し支給されますので、「退職所得」として他の所得と分離して課税されます。

1)退職所得に該当するもの
 勤務先から受ける退職金や一時恩給(小規模企業共済からの一時金なども含む)

2)退職金課税対象額の計算
退職金課税対象額=(収入金額―退職所得控除額)×1/2

退職所得控除額の速算表(勤続年数の端数は切り上げ)

勤続年数 退職所得控除額
20年以下 勤続年数×40万円 (最低保証80万円)
20年超 勤続年数×70万円 −600万円

 退職所得は、「分離課税」であり、通常は支払いを受ける際に、源泉徴収されて課税関係は終了します。

3)所得税・住民税の算出
 2)で算出した課税対象額をもとに、所得税額、住民税額を計算します。


a) 所得税
所得税額=課税対象額×税率−控除額

b) 住民税
住民税額=(課税対象額×税率−控除額)×90%


●年金にかかる税金

 国民年金・厚生年金などの公的年金や、生命保険などから受け取る個人年金は雑所得として課税されます。しかし、各種控除があるため、65歳以上で公的年金額が年間178万円以下なら税金はかかりません。ただし、他に企業年金などを受け取っている場合は税金がかかりますのでご注意ください。


1)公的年金の税金

a.源泉徴収の対象
 源泉徴収の対象になるのはその年(1月〜12月)に支払われた年金受給額が108万円以上(65歳以上は178万円以上)の人に限られます。また、社会保険庁に「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出すると、各種控除が受けられます。年金額が非課税限度額以下の人は源泉徴収されません。

源泉徴収税額 = (年金支給額−控除額)×8%(税率)


2)個人年金の税金
雑所得=個人年金の収入−必要経費
必要経費=その年に受ける年金額×{(掛金の総額−年金支払開始日前に分配された余剰金)÷年金の見込支給額}


●役員退職金にかかる税金

 会社が従業員に支払った退職金は、全額損金に算入出来ます。では、役員に支払った退職金はどうでしょう?

 役員退職金が損金に算入できる要件は次のようになってます。

  ・株主総会で決議されていること
・損金処理がされていること
・役員に対する退職金として妥当な金額と判断される範囲内であること
過大だと判定された場合は過大とみなされた部分は損金不参入となります

 先にも述べたとおり、税務調査ではどのような根拠によって支給されたのかが、最大の問題点となってきます。役員退職金規定を整備しておくことが重要になってきます。


●死亡退職金・役員弔慰金に対し遺族にかかる税金

 遺族の相続税の計算では、死亡退職金・弔慰金は次のような取り扱いになります。

<死亡退職金>
  法定相続人1人当り500万円は非課税になります。

<弔慰金>
業務上死亡の場合 死亡時の普通給与の36か月分は弔慰金として非課税
それを超える場合は死亡退職金として相続税の対象になります。
業務外死亡の場合 死亡時の普通給与の6か月分は弔慰金として非課税
それを超える部分は死亡退職金として相続税の対象になります。