退職金の支払い方法において、退職年金制度がある企業は5割以上に上ります。昨今では中小企業であっても退職一時金だけでなく退職年金制度を併用する傾向が増えております。 日経連がまとめた2000年の「退職金・年金に関する実態調査(速報)」によりますと,大卒の男性正社員が60歳で退職した場合の退職金は、平均で2563万円との報告があります。これは、前回調査(1998年)に比べて、1.3%減少しているという結果であり、景気の低迷による企業業績の悪化に加えて、能力主義による実績反映型の賃金体系への移行が進む中で,退職金の伸び悩みが明らかなものです。なお,高卒の場合は、2289万円で前回調査と比較して3%の減少でした。 以前は「退職金準備は退職一時金のみ」という企業が大多数でしたが、高齢化の更なる進展により、将来的に退職金が増大し、その支払いが困難になることが危惧されるため、退職金の一部もしくは全額を年金として長期に分割して支払う企業が増加してます。 今回の調査でも、一時金と年金の併用が82.4%、一時金だけの企業は10%、また退職年金制度のみの企業は7.6%という結果が出ております。年金との併用により、退職金支払いの負担が長期に分散され、一時的な負担増を回避することが可能です。退職金の性格における、功労報償部分=一時金、生活保障部分=年金と捉えることができます。 また、毎年の賃上げが退職金に反映される企業は、全体の54%で前回調査に比べて、10%減少しています。賃金に関係なく決定する企業は、41.2%に達しているとの事でした。 つまり、退職金にも実績や能力を反映させる企業が増えているといえるでしょう。 |