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 8.組織の問題児の傾向と対策
1.企業組織を考える  2.企業組織を考える2  3.フラット型組織の導入  4.戦略的組織の形成方法
5.生産性の向上を図る  6.生産性の向上を図る2  7.活力ある組織作り  8.問題児の傾向と対策

問題児の定義とそのタイプ

 「問題児」と一言に言っても、実態は実に多様にあることでしょう。ここでは、特に組織全体を不活性化させてしまうという意味で「周囲に悪影響を及ぼす人物」を問題児と定義し、その中でも代表的なものを分類しております。

1 仕事抱え込みタイプ
 文字通り、仕事を一人で抱え込んでしまうタイプで、影響力の小さい業務をこなしている間は良いのですが、管理職や組織の核の部署にいる場合に悪影響を及ぼすことになります。
 この種のタイプの下についた場合、仕事の成果や全容を知らされないまま、作業の依頼をされるため、結果的にその作業がつまらないものになってしまい、仕事へのやる気や意欲を減退させる要因になりがちです。また、このタイプは中間報告も行わずに締め切り間際に仕事を提出するため、関連部門との間に何か問題が生じたときに調整不能になる、といった状況も引き起こします。

2 負け犬タイプ
 このタイプは重要な業務は任されないため、業績という点では大きな障害にはなり得ませんが、周囲の従業員や職場の雰囲気を破壊するという点においては大きな障害となり、組織全体のモラル・ダウンにもつながりかねません。特に若手社員に大きな悪影響を及ぼす不安もあります。

3 地方自治推進タイプ
 自分勝手に組織を運営していくタイプであり、一見問題が無いように見えますが、コミュニケーションが不足している点に問題があります。事実、優秀な人材ではあるのですが、それが故に周囲との軋轢を生んだり、組織中枢部の方針に従わないなどの障害が生まれ、組織全体のバランスが徐々に破壊されていきます。

4 暴走族タイプ
 集団で組織に対抗する人物がこのタイプにあたります。他の人材を自分の活動に巻き込み、組織運営を阻止しようとする点で障害になってしまいます。ただし、このタイプの場合は、「認めてほしい」というような精神面での欲求がその要因となっているケースが大半のようです。

5 セクハラタイプ
 特に女性に遠ざけられるタイプです。しかも女性に嫌われることによってじわじわと職場の中で問題が発生し、組織の雰囲気を破壊していくことが通例です。
 また、直接的には「セクハラ」とはいえませんが、フケをためたり、体臭が臭うなどの不潔な男性も女性に嫌悪されるという意味では同様の結果を招くようです。


問題児に対する対策

 問題児に対しては、周囲への影響はもちろんですが、本人の意思を確認しながら、ステップを踏んで慎重に対応していく必要があります。

ステップ1 自分の現状を気づかせる
 問題児と言われる人は意外と自分の現状に気づいていない、また気づかないふりをしている場合もあります。これらの人にはまず、「現状の自分を認識させる」ことです。
 具体的には、上司との面談や全体での話し合いの時間をもつことが良いでしょう。その際、露骨な指摘は避けて、自己革新を促す方向で相手に気づかせることが重要です。

ステップ2 自己革新させる
 現状を認識させた上で実際に「自己革新」を行わせることです。
 効果的なものとしては教育訓練などの実施が考えられます。時には教育訓練を専門的に行っている外部機関を活用し、自己革新を促させるのもひとつの方策かと思われます。
 この場合、本人に気づかせても放置すると元に戻ってしまう可能性が高いので、自己革新を継続的に行わせる、もしくは常に本人への意識づけを行うことが必要です。そのためには、能力開発などの目標や計画を持たせて、それに対するフィードバックを行うことが効果的です。
 ここでのポイントはこのフィードバックを経営トップ、もしくは実力ある幹部がチェック、フォローすることです。問題児の多くは「注目」されないことによる「あきらめ」や「反抗」、「自信喪失」が根底にあります。トップや実力者の直接的な指導は大きな効果をもたらします。

 ステップ3 退職を促す
 自己革新が一向に進まない場合、最終的には退職勧告を行うことになります。しかしながら、一向に進まないのが現状ではあります。その問題児が一般社員ならまだしも役員クラスのような場合は尚のことです。
 だからといってなおざりな態度をとることは、相手を助長させ組織のモラルを下げることになってしまいます。
 ですから経営者としては、相当な覚悟のもとで問題児に対しては断固とした態度で臨むことが必要になります。

 具体的には「思い切った降格人事を行う」だとか、「会社の形態に影響がない閑職に就ける」といったような結果的には退職を促してしまうこともやむを得ない処置といえるでしょう。そのような対処の結果、本人が自己革新に目覚めたケースもあります。


 問題児にはこのような覚悟と強い態度で接することをお勧めします。