生産性向上の手法 生産性向上の基本は (1)無駄な時間をカットし、必要業務のための時間を確保する (2)一定時間(期間)内でできる業務の量、質を高める の2点です。 以下、この2つの基本に沿って生産性向上を実現するためのポイントをご紹介していきましょう。 1】仕事の受発注の見直し(業務を作業レベルに分解する習慣づけ) 上司から仕事を与えられたときに部下が「業務設計」を行う習慣ができているかどうか、もしくは上司がそのような指導を行っているかどうかで、生産性は大きく異なってきます。
このような習慣が身につくことで、指示委譲の仕事をして時間を無駄にすることや重要な段取りを飛び抜かしてそれまでの仕事全体を無駄にすること、業務にかかる時間の見積もりを考慮しておらず期限に間に合わない、といったような事態を避けることができます。 また、能力向上のための教育を行っても業務処理のスピードが上がらない社員は業務内容を誤解して無駄なやり直しを重ねている恐れがあります。部門全体がそのような状況ならば、管理者自身の指示の与え方にも問題がある可能性もありますので指示内容を社員が正確に理解しているかどうかの確認を行う必要があります。 2】業務に集中できる環境を整える 1つの仕事を行っているときに邪魔が入ると集中して取り組んだときに比べて大きく効率が落ちるものです。たとえば、1〜2時間は頭をひねらなければできないような仕事にとりくんでいるのに、ひっきりなしに電話がかかってきたり、上司からの呼び出しや他部門からの問い合わせがくるようでは何時間費やしても仕事を終わらせることができません。ですから、業務に集中できる時間を社員に与えることも重要です。あらかじめ業務遂行のスケジュールをきちんと立てていれば、仮に特定の時間帯に問い合わせや呼び出しといった邪魔を完全に排除する時間帯を設けてもさほど大きな問題にはならないでしょう。 3】できる社員のノウハウの共有化を行う 能力の高い社員は、それまでの経験のなかから業務処理のための「ノウハウ」を各自で身につけています。それをその社員固有のものにしておくのか、あるいは会社の共有財産とするのかでも組織の生産性は異なってきます。
以上のような視点でノウハウを吸い上げてマニュアルを作成したり、優秀な社員の業務設計書を皆で共有できるカタチでの保存(ファイルにしたりする)を行って、それをもとに社員の教育を行うのも非常に効果的です。 4】上手な時間の使い方を修得させる 上記で紹介したような方法が定着してきたら、「時間の使い方」そのものについての教育を行いましょう。たとえば、業務設計を行う際にそれぞれの作業についてどの程度の時間がかかるのか、いつ実行すれば最も効果的なのか、どのような順序で実行すればよいのか、についての段取りを考えさせ、それをもとに細かい業務スケジュールを組む習慣をつけさせるのです。 スケジュールを立てることによって、現在与えられている業務を遂行するのに必要な時間はどのくらいか、新しく入った業務は確実にこなせるかが把握できる→正確な時間数の見積もりができるようになる、計画通り実行できなかったのはなぜかを考える→生産性向上を阻害する要因を見つけ出し、問題を解決へと導くなどの効果が得られ、各自が生産的な時間の消費を意識するようになるでしょう。 ただ、この場合のスケジュールは「計画通りに行う」ことが主な目的ではなく、「自分は今週(締切日)までにどれだけの業務をこなさねばならないのか」「こなしていくためにはどれだけの時間があてられるのか」ということを各自が自覚するのがねらいなのです。あらかじめこれらの点の把握ができていれば、突発的業務が発生しても適切な業務の量と時間の見積もりができるようになります。 5】3つの視点からの検討作業 実際に与えられた仕事について、業務の効率性を高める努力を行う際に必要な視点です。
会社全体で取り組む姿勢をとる 組織全体の生産性向上のためには抜本的に現在の業務の手順や段取り、担当管理者の適切度、その業務の必要性といったところまで見直す必要がでてきます。ですから、経営陣自らが生産性向上運動推進の先頭にたって目標を掲げることが重要でしょう。 そして生産性向上のための意識付け、手法の教育、アイデア募集や人事評価や処遇制度の見直しなどを定期的に実行していく姿勢が大切です。各自の行動改革を恒常的に促すような仕組みをつくることによって、生産性向上が一定期間にてもとに戻ってしまうような危険性を回避します。 たとえば、生産性向上の目安として「残業時間の削減」を掲げたなら、裁量労働時間制のように、生産性向上が社員のデメリットにならない人事制度を導入したり、残業時間削減により削減された経費の一部を賞与などに加味して社員に還元したりすることによって、「会社は社員に本気で生産性向上を求めている」ことを伝えることができるのです。 |