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 5.組織の生産性の向上を図る
1.企業組織を考える  2.企業組織を考える2  3.フラット型組織の導入  4.戦略的組織の形成方法
5.生産性の向上を図る  6.生産性の向上を図る2  7.活力ある組織作り  8.問題児の傾向と対策

オフィスの生産性を見直す

 日本のホワイトカラーの生産性は、欧米のそれと比較して非常に低いとよく指摘されます。欧米では能力主義制度の徹底によってホワイトカラーの個々が「自己生産性を高めれば、金銭的にも自分の暮らしが豊かになる。」という認識の下で労働しているので、生産性の向上が可能になったというのが定説です。

 また更に、総務・庶務・管理・企画などのホワイトカラーの生産性は直接部門の生産性と比較して立ち遅れているともよく言われています。

 この根拠は…

(1) 事務系部門では「仕事の生産量」を計る尺度が不明確になり、生産性が変化しても顕著な数字としては表れにくい。
(2) 生産性は製品原価そのものにかかわるという点から、1円単位で生産性向上に取り組んでいる生産現場と比較しても、事務系部門はコスト意識に乏しいといった事由が挙げられます。

 ホワイトカラーは直接的に生産性が見えにくいからこそシビアな感覚が必要とされるものであって、決して生産性に対して無関心でいてよいということではありません。生産性向上とは個々が密度の濃い仕事をすることを意味し、それはすなわち、より少ない時間で今までと同じ仕事をする、あるいは今までと同じ時間でより多くの仕事をすることにほかなりません。生産性向上のためには社員のやる気をあてにするよりも業務の合理化や効率化をはかって実際の成果をあげさせ、社員を刺激する方がより効果的です。


生産性向上のメリットとは…

 全体的な業務の合理化や効率化を計るということは勿論、組織の全メンバーすなわち、社員全員の生産性に対する意識を高めるところからスタートせねばなりません。社員一人ひとりにとって、会社にとって生産性が低いことでどのようなデメリットが起こっているのか、生産性が高くなればどのようなメリットがあるのかについて十分納得してもらう必要があります。その上で、生産性向上に取り組むことに対する経営者陣の強い「意思」を示すようにします。

1】組織にとっては「機動力」を高めるメリットがある
 メーカーにたとえて考えてみると、開発にあたって1〜2年先を見通すよりも、数ヶ月後のニーズを予測した方が消費者のニーズにより近づいた商品が開発できます。また、従来と同じ期間をおいて発表するにせよ、その間に宣伝戦略等の面で様々な手を打つ余裕がでてきます。そのため結果的には従来よりも商品がヒットする確率を高めることができるわけです。つまり、商品開発期間の短縮に成功したなら、より消費者のニーズに適した商品を開発することができるようになるといえます。
 これはメーカーを例にとっての話ですが、これは全業種に関していえることで、組織全体が業務処理能力を高めて生産性を向上させるということは、その組織の経営スピードが速くなり、結果的にいかなる環境の変化にもタイムリーに手を打つことができることに加えて他社に先じて必要な手を打つことができるようになるということなのです。

2】個人にとってのメリットは能力を高めて豊かになるチャンス
 生産性を高めるということは社員各人の「生産能力」を意味します。つまり、自分の能力にプライドをもつことができるということです。誰しも人は、能力を発揮して評価されることによって自分の価値を高めたいという欲求があります。
 それに応える評価制度があれば、生産性向上は社員にとって、会社の業績向上に貢献すればそれに見合った報酬が得られる、もしくは、従来通りの業務をこなして給与水準を維持しつつも、自分個人のための「時間」を持つことができる、といったような自分の生活設計に則した道に進める「チャンス」となるのです。