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総務・労務情報トップ組織[人事]>戦略的組織の形成方法
 4.戦略的組織の形成方法
1.企業組織を考える  2.企業組織を考える2  3.フラット型組織の導入  4.戦略的組織の形成方法
5.生産性の向上を図る  6.生産性の向上を図る2  7.活力ある組織作り  8.問題児の傾向と対策

柔軟な組織への変貌  −組織形成を目指して−

 企業が常に変化する環境の中で生き残り、成長していくためには環境の変化をいち早く把握し、その中から自社の成長要因・失敗要因を的確につかんで適切に対処する力をつけることが必要不可欠になります。多くの会社はある程度の規模になると経営上の意思決定を行う上で必要な情報が上部まで届いていな かったり(伝わるのが遅い)、経営方針の変更や予定外の問題にスピーディに対応できなかったり、生産性が低くて、新しい業務に手をまわすことができなったり・・・・といったような問題が発生し、それが環境適応の阻害要因になってしまうようです。いち早く変化に対応するためにも、トップの戦略策定・実行力を高める「戦略的な組織づくり」を心がける必要があります。

−−組織形成を目指して−−
 具体的に組織形成を行っていくために、大きく分けるとハード面とソフト面との2つの視点からアプローチする必要があります。


・ハード面(組織形態)の見直し

 比較的大きな規模へと成長すると責任の所在が不明なため、誰に何を伝達したらよいのかが不鮮明だったり、ピラミッド型ラインが幾重にも重なってしまって、情報がトップへ届くのに時間がかかってしまったり・・・というような問題が生じがちです。その企業の施策の適・不適によりますが、すぐに取り込める見直し策としては命令系統や各人・各部署の責任範囲の整理を行ったり、プロジェクトチームを編成したり、社内提案制度の導入を行うことによって、問題解決への近道になるでしょう。

 全面的な組織の見直しを行うにあたって、代表的な戦略的組織を紹介しておきましょう。

(1)事業部制組織
 大規模化し、硬直化した組織構造を独立した事業単位に再編成します。形態的には、製品別・地域別・顧客別 のいづれかの形態を採用します。
(2)マトリックス組織
 従来の職能別の組織を横軸に、プロジェクトチーム(ある課題を達成するために横断的に召集された各部のスペシャリスト達によって構成される)を横軸に配置し、多元的な対を可能にするものです。特徴としては「ワンマン・ツーボックス」システムを取り込んでいます。
(3)アメーバ組織
 この組織の特徴としては、組織に部課制度を設けないことと5〜数十人のチームを多数組織し、そのそれぞれが経営に関して大きな裁量権を持つと同時に携わる仕事の責任も負うことの2点があります。このチームを「アメーバ」と呼ばれるところからこの名称がつきました。
 例えば、新商品を開発する場合は、様々な方面の「アメーバ」から集められた人材が新しく「アメーバ」を形成したりして問題を解決します。

 どのような組織体制を形成するにしても活力のある組織の実現には、権限と責任を独立したカタチでもてるような、自己裁量の部分の広い組織化の育成が重要になり、それによって個々の組織の意欲をかき立て、一層の活性化を図ることができるといえます。


・ソフト面(コミュニケーション)の充実化を目指す

(1)トップの関心事項が従業員にまで伝達されているか。
 自社の課題を的確に理解し、対策に必要な情報は何なのかを明らかにして、トップ自らが積極的に管理していくことが必要です。
(2)情報を流通させることの重要性は従業員に浸透しているか。
 従業員に対する教育を行い、コミュニケーションを重視する組織風土をつくりあげることで、情報の流通の日常化を目指していきます。
(3)意識しなくても情報が流れやすい「場」を設ける
 会議や懇親会、社内報やマニュアル類等の情報伝達の場を積極的に活用するのも重要です。会議に関しての注意点としては、時間(分量)は適切なのか、開催(発行・改定)の頻度は適切なのか、出席者(読者)は考えて選ばれているか、情報交流の役割は果たされているのか、の4つが挙げられます。スムーズに情報が伝達でき、なおかつ受け手側の支障にならないような手段を考えるべきでしょう。