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 2.これからの企業組織を考える2
1.企業組織を考える  2.企業組織を考える2  3.フラット型組織の導入  4.戦略的組織の形成方法
5.生産性の向上を図る  6.生産性の向上を図る2  7.活力ある組織作り  8.問題児の傾向と対策

組織を活性化する動態的組織形態

 前章で述べた基本形態は組織の基本5原則をもとに如何にバランスよく企業組織を積み上げていくかという「ピラミッド型組織」を形成するものでした。しかし、激しい経営環境の変化に伴ってピラミッド型の企業組織では、変化に対応しながら、経営目標を果たしていくことが困難になってきました。

経営環境の変化
・顧客ニーズの多様化
・高度化によって多品種少量型の独自性の高い製品やサ―ビスが求められてきている。
・企業間競争が激しくなるにつれ経営にスピードが求められるようになった。
・従業員の就業意識の変化として、仕事に新たなやりがいを求める「自己時実現」の欲求が高まっている。
・業務内容の複雑化により、効率的な組織運営が求められている。
・情報技術の進展によってオフィスの情報化が進み、新たな組織運営も可能になってきた。

 経営環境の変化が活発になってくると、機動性に富んだ組織構造が必要になってきます。

(1) プロジェクト
・チーム
期間を区切ってその間にあらかじめ定められた目的に向けた業務を遂行する組織形態です。既存組織では解決困難な特定の問題や長期的な問題などの解決のために採用されることが多いようです。
(2) プロダクト
・マネージャー
製造や営業といったラインから離れた立場からコーディネイトしながら特定製品やブランドについて総合的に企画・調整機能を果たします。企業で取り扱う商品が多様化した場合など、消費者ニーズに合った商品の提供には製品別に市場調査から開発・生産・販売や宣伝までを一貫して行う必要があります。このときにはラインではなくスタッフとしての位置づけのプロダクト・マネージャーが関連部門を横断的に調整していくことになります。
(3) マトリックス組織 ライン組織のような安定性の高い各職能部門を縦系列とし、横系列には機動性に富むプロジェクト制度などを配置することで各部門のバランスを確保するものです。例えば、1人の組織構成員が部門とプロジェクトという子となる2つ以上の組織に同時に所属する形態をとり、構造的には1人のメンバーが2人の上司をもつことになります。
(4) フラット型組織
(部課制廃止)
顧客ニーズの変化を捉え、指揮命令を迅速におこなうことが求められている状況下でも、企業規模が大きくなると組織の硬直化を招く可能性は高まります。そこで、硬直を防ぐために中間組織階層を圧縮し、横のつながりを強化したフラット型組織が多くの企業でとられはじめています。


これからの企業組織の考案

 前章で述べた「動態的組織形態」は、硬直的な組織を活性化させるものとして、近年多くの企業で活用されています。今後の形態は更に下記のような志向すると考えられます。

・経営内外の環境変化に即応できる柔軟で機動性に富んだ組織
・構成員の独創性を活用したユニークな製品やサービスを創出できる組織
・経営組織のフラット化による迅速な意思決定が実現できる組織
・大幅な権限委譲と明確化された責任のもとでの自律的な組織行動

 このような機能を兼ね備えた未来型組織として挙げられるのは、「リレーション型組織」です。

・小人数で編成された「チーム」主体性
・チーム独自に考案して自立的に行動する
・情報ネットワークを活用し、他チームや他部門等と速やかに連携
・目的志向で専門領域を固定化しない自由部隊

 このようにチームである個が独立しながらも有機的に連携することによって、環境変化即応型の柔軟性に富んだ組織へと進化することが可能です。さらに、こうした自己完結型の組織運営で重要なことは、会社全体の目標、組織の目標、個人の目標を統合させて、企業としての個体を保っていくことなのです。