弔辞の心得 故人の追悼と遺族への弔意を表すのが弔事の心得です。悲しみの情を素直に伝えるためには、難しい言葉は使わず自分らしい言葉で、故人に語りかけるように述べることです。 故人を送る言葉や思い出、業績、人柄などを中心に、エピソードや失敗談、欠点になるような事は決して述べてはいけません。 「かえすがえすも」「かさねがさね」「繰り返し」「再び」「追う」「続けて」等、不幸が度重ならないようにという意味での忌み言葉も避けます。 また、「死去」「死亡」「亡くなられた」の表現は「ご逝去」「ご永眠」等を用います。 神道やキリスト教の場合、仏教用語の「成仏」「ご冥福」「供養」等は使わず「安らかにお眠りください」等の言い方にします。 文章の表現としては美辞麗句を並べるのではなく、素直に素朴に自分の気持ちを表現します。「ありきたりかな」と思えるくらいが、ちょうどいいものです。文章量はだいたい原稿用紙400字詰めで3〜4枚なら3分くらいで収まるでしょう。 文章が決まったら奉書紙に薄墨の楷書で筆書きし、これをさらに奉書紙で包み、「弔辞」と上書きします。 弔辞は上包みから取り出し、目の高さに持って読みますが、あまり悲しみを剥き出しにすることなく、感情を抑えてゆっくりと読むことです。読み終えた弔辞は上包みに納めて祭壇に捧げ、一礼して席に戻ります。葬儀後、弔辞は遺族の元で長く保管されます。 いずれにしろ、弔辞を遺族から依頼された場合は、故人とのつながりがそれだけ深いと思われているわけですから、快く引き受けるべきでしょう。 |