契約書作成の必要性 前述の通り、口約束でも契約は成立します。しかし、約束事が多い・履行期間が長い契約の場合は面倒がらずに契約書を作成したほうが良いでしょう。契約書を作成することによって次のような利点があります。
契約書をつくりたいと切り出すと、相手方を信用していないように思われると考え、とかく「俺とお前の仲だから」といって契約書をかわさないケースがあります。しかし、契約書がないため、契約の相手方が契約どおり履行しなかったり、訴訟になって裁判手続上、契約(内容)の立証ができなかったらどうしますか? 契約書作成は、企業にとって、紛争予防上の点からみても重要で必要なことなのです。 契約と法律の関係 民法・商法・その他多くの法律には、契約に関してさまざまな規定がおかれています。これらの規定は、任意規定・強行規定・取締規定の3つに分けられます。これらの規定が契約にどのような影響をもたらすのか見てみましょう。 ■任意規定■ 任意規定とは、当事者がこれと異なる内容の合意をすれば、その合意の方を優先する規定のことです。民法の契約に関する規定の多くは、この任意規定です。 ■強行規定■ 強行規定(強行法規ともいいます)は、絶対に守らなければならない規定です。つまり、当事者の意思いかんにかかわらず適用され、当事者がこれに反する合意をしても、その合意は無効となる規定です。例えば、借地借家法・労働基準法・割賦販売法・訪問販売などに関する法律の多くの規定は、強行規定でこれに違反する契約内容は無効となります。 ■取締規定■ 取締規定とは、規定に違反しても合意の効力には影響はないが処罰されるもので、例えば、無届けで貸金業を行えば、貸金業の規制などに関する法律違反で処罰されます。 強行規定・取締規定は、暴利行為その他反社会的な行為を禁止したり、取引上の弱者を保護する目的で規定されているものです。強行規定・取締規定に違反しない限り、契約内容は当事者が自由に決めることができる。 |