決算報告書入門
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貸借対照表の見るべきポイント

●貸借対照表の見るべきポイント

 以下の3つ程度の決算書の読み方を知っていただき、ぜひ御社の決算書を手に取り電卓を叩いてください。

【1】 固定長期適合率=固定資産は長期資金で
企業の安全性を図る指標に固定長期適合率と言うものがあります。

 固定資産を自己資本と固定負債の合計で割ったものをパーセントで表示したものです。企業の固定的な資産とその資金の出所が適正にバランスしているかを見る指標です。ですから、100%以下で低い方が安全性が高いということになります。この値が100%を超えている場合は、短期的に調達した資金で固定的な資産を購入しているということになります。

貸借対照表

固定資産とは

 固定資産は以下のように区分されます。

1.建物や車両等の形のある有形固定資産
2.借地権や特許権・ソフトウエア等の知的財産等の形のない無形固定資産
3.子会社株式等売却予定のない有価証券や長期の貸付金等の投資その他の資産
4.費用の繰延である繰延資産

 いずれも直ちに、資金化される見込みのない資産です。


固定負債とは

 固定負債はあまり種類がなく要は流動負債とならないものですから、以下のようなものがあります。

 社債・長期借入金・引当金等です。しかし1年以内に償還期限が来る社債や1年以内に返済する借入金の一部や1年以内に支払わなければならない賞与引当金などは、流動負債となります。

 総資産と負債+資本は必ず一致いたします。

 総資産は流動資産と固定資産の合計です。負債+資本は分解すると、流動負債+固定負債+資本です。ですから固定長期適合比率が100%を超えている場合は、流動比率が100%以下となって、企業の安全性が疑問視されます。


【2】流動比率=(流動資産÷流動負債)×100

 支払不能の可能性は? 企業の安全性を計る経営指標の一つに流動比率と言うのがあります。 これは流動資産を流動負債で除したものをパーセントで表したものです。

 何を意味するかと言うと、直ぐに資金化できる資産と、直ぐに支払わなければならない負債との比率です。ですから流動比率は100%を超えていれば、1年以内に支払不能になる確率が低いとされています。


なにが流動資産に属するか?

 流動資産には、まず既に資金として使える現預金が上げられます。金銭債権では、受取手形や売掛金や未収金・貸付金・有価証券等が該当します。棚卸資産も不良在庫でない限り流動資産となります。非金銭債権では、前渡金や前払費用等が該当します。

 但し1年を超えないと満期がこない定期預金や、全く売れる見込みのない有価証券(子会社株式等)や1年以内に返済の見込みのない貸付金等は除かれます。要は1年以内に資金化又は費用化される資産を流動資産と言います。これをワンイヤールールと言います。


なにが流動負債に属するか?

 流動負債には、支払手形や買掛金や未払金等で通常の商取引に基づいて発生した債務や預り金・前受金・引当金等が含まれます。但し流動資産同様のワンイヤールールが適用されます。ですから最終返済期限が5年後の借入金であっても1年以内に返済しなければいけない分は流動負債に表示する必要があります。


連年比較で傾向を掴む

 中小企業の場合かかる表示の曖昧性は否めませんが、毎期同じ基準で処理された決算書であれば、連年で比較することによって流動比率が良くなっているのか、すなわち資金に余裕が出てきているのか? 余裕がなくなってきているのか? の傾向は掴めます。


【3】自己資本比率=企業の安全性を計る経営指標に自己資本比率があります。

 貸借対照表の左側(借方)の資産の部は企業の財産の状況を表しており、その総額を総資産と言います。一方右側(貸方)の負債の部と純資産の部はその財産を取得する為の資金の出所を表しておりその総額を総資本と言います。そして財産の取得結果を表した総資産と取得原因を表した総資本はその合計額が必ず一致します。


自己資本とは

 総資本の内、いずれ返済したり、支払ったりして他人に支出しなければならないものを、負債の部に表示し、これを他人資本と呼びます。残りの返済や支払の必要のないものを純資産の部として表示し、これを自己資本と呼びます。

 自己資本は大きく株主から出資を受けた資本金と、利益の積立である剰余金とに区分されます。

 自己資本比率は(自己資本÷総資本)×100で計算されます。

 この自己資本比率が高いと言うことは、返済の必要のない自分のお金で資産を取得していると言うことを表している為、安全性が高いと評価されております。


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