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社長の給料はいつどこで、どのように決めたらいいの?

 給料の中でも役員に支払われる給料である役員報酬については、税法で厳しいルールがありますので注意が必要です。株主・役員が、ほとんど身内だけの同族会社は、第三者の株主や役員がいる法人より一段と厳しい客観的視点が必要とされます。そのことを肝に銘じて慎重に処理する必要があります。

社長の給料はいつどこで、どのように決めたらいいのか?

【ポイント】
(1)株主総会で限度額を決め、取締役会で具体的に決定
(2)年度始めに決めた役員報酬を増減してはいけない
(3)社長の報酬は高い金額で設定し、いざというとき覚悟が必要

 社長の報酬をいくらにしたらいいのかという質問を受けます。会社と社長は全く別物であることを理解してください。会社のお金を社長が私的に使うと法律的には業務上横領になります。まず、会社の仕組みを理解してください。

 法人は、株主の所有物です。株主は株主総会で法人の実務を取り仕切る取締役と監査役、会計参与を選任し報酬の最高限度額を決めます。その選任された取締役たちが取締役会を開催、代表取締役を選任し、具体的な報酬を決めることになっています。

 日本の多くの法人が、この仕組みに無知なうえに、大株主と代表取締役が同じであることが多いので、会社と社長の区別がつかなくなっているのが実像です。このような認識でいる会社や株主や役員が多いため会社は株主のものであるという大原則に反れて、ライブドアのような粉飾決算や商法違反が起こるのです。

☆役員報酬の上手な決め方

○○年度経営計画
○○年度経営計画

 この場合、利益を0にするには、2,400万円の役員報酬を支払えばいいのですが、昨今銀行の格付が厳しいこともあり、一定の利益を計上する必要があります。利益を800万円計上するとすれば、この会社は、2,400万円 −800万円=1,600万円が役員報酬となります。

 このように実現性の高い経営計画を策定し、その一環として役員報酬を決めるのが一番上手な方法ではないでしょうか。

 反対に、問題のある役員報酬の決め方は、経営者が例えば、「生活費として月々120万円必要なので、年1,440万円の役員報酬にした」というケースです。毎月役員報酬を支払う前の利益が100万円しかない場合、月々120万円の役員報酬を支払えば月々20万円足りません。足りない年240万円は会社の赤字となり、月々借金も240万円膨らむことになります。まず、生活費を月々100万円に下げる。さらに経営努力で売上増収や原価・経費節減し、月々20万円の利益が生み出せる会社になったら、報酬を月々120万円にするといった前向きな経営判断が欲しいものです。このような経営者には倒産は無縁です。

 法人の仕組みを理解していれば、すぐに理解できますが、役員報酬を引き上げることができるのは株主総会においてだけです。会社の業績は、決算を終えて判明しますから、期中では増額することが原理的にできないことを理解してください。


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