小さな会社の簡単経理
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売上や経費の疑問

(1)会社の経費になるものの範囲は

【ポイント】
・会社で使った費用は、原則としてすべて経費となる
・税金は結果。節税を考えるより売上、利益を確保することを第一に考える
・給料・家賃等のように売上0円でも発生する固定費はできるだけ低く押さえよう

 会社の経営者の素朴な疑問に、「会社の経費はどこまで認められるのか」ということがあります。答えは「原則として仕事で使ったお金はすべて会社の経費になる」です。

 つまり、経営者の報酬・給料・社会保険料・通勤費・家賃・事務用品費・水道・電気・ガス・電話代・交通費・打ち合わせのための食事代・接待の飲食代・ゴルフ代・本代等仕事のために使ったお金の全部が経費になります。何でも経費というと勘違いされた経営者は税金を納めたくなく、経費を湯水のように使って倒産してしまったという笑えない話があります。会社は利益を出さなければ潰れてしまいます。あくまで税金は結果です。売上を上げ、利益を出し、税理士と相談され、まずお金のかからない節税対策を考えてください。

 経費のうちで特に注意したいのは、原価と固定経費です。売上に直接対応する原価(原価÷売上=原価率)を常に一定に保ち、同業他社と比較して、1%でも引き下げていく努力をしてください。

 また、毎月売上0円でも発生する経費・家賃・給料等は特に注意してください。自分や家族の給料は業績が悪くなればすぐ引き下げることはできますが、社員の給料はそうはいきません。仕事が増えていけば社員を増やしたいと思うでしょうが、できるだけパート・人材派遣・外注費等で対応し、正社員を増やさないことです。正社員を解雇することは容易ではありません。また、無理な解雇は会社全体の雰囲気を悪化させ残った社員の気力をそぐことにもなりかねません。会社は見栄ではなく、社員が精神的にも物理的にも清潔で明るく、楽しく働くことが、会社の利益を出す大切なポイントの1つです。


(2)自宅で仕事をする場合は

【ポイント】
・自宅兼事務所・店舗等であれば、事務所・店舗部分は会社の経費になる
・経費割合は計算根拠を作成する

 経費を考える前に売上と利益を考えることは原則です。今まで個人の給料の中から支払っていた部分が会社負担になることはありがたい。

 自宅の一部を会社の事務所等として使用すれば、一定金額は会社の経費になります。自宅を毎月20万円で借り、一部の50%を事務所として使用していれば、20万円の50%で毎月10万円は、会社の地代家賃として処理できます。結果として10万円役員報酬が増加したことになり、所得税も安くなりますので丸まる手取りが増えます。この場合、一定の覚書を会社と役員の間で作っておく必要があります。

覚書


(3)借り上げ社宅の取り扱いは

【ポイント】
・自宅の社宅化は大きな節税効果を生む
・役員社宅費は税務上の計算式がある

 業績が順調に推移し、自宅とは別に事務所を構えたら、自宅を会社に借りてもらい、社長は借り上げ社宅に入る形にすると節税になります。

 先のケースでは、会社から大家さんに20万円支払、会社の社長は会社に社宅利用費を支払います。

 社長の支払社宅利用費は、計算方法が税法で定められています。小規模社宅【床面積がマンション等の鉄骨は99平方メートル 一戸建て木造の場合は、132平方メートル以下】は、その年度家屋の固定資産評価×0.2%+12円×坪数+敷地の固定資産評価×0.22%以上であればよく、通常家賃の20%程度ですみます。このケ−スでは社長が会社に支払う社宅利用費は4万円程度でよく、差引16万円が会社の経費となり、社長が自分の給料から支払うことに比べて税金が安くなります。

 分かりやすくするために実際の数字を入れて事例を検討してみると、

《社宅にする前》

法人 役員報酬 月50万円 税金  所得税 33,670円

《社宅にした後》

    役員報酬 34万円(16万円減額) 所得税 17,540円
    実質賃借料 16万円 法人税変わらず 年間193,560円税金減額
    その他 社会保険料も約月29,874円 年間358,488円減額

 実態的に何も変わらないのに、社長の所得税、社会保険料合計が年間552,048円減額されます。


(4)自宅購入は別会社、倒産しても自宅は守れる

【ポイント】
・会社所有社宅は減価償却費、支払利息は経費になる
・会社購入の場合、住宅ローンのような35年はなく、10年〜15年の返済になる
・会社購入を別会社【配偶者代表】ですると会社倒産の場合も自宅を保全できる

☆社長の自宅を会社で購入し、社宅にすれば更に大きな節税対策になる。

 配偶者をプチカンパニーの代表者にして、マンション・戸建て住宅を購入し、経営者用の社宅にすると、(1)社宅のローン金利、建物の減価償却費は会社の経費になり、法人税負担が減ります。(2)経営者の報酬を減額でき、【住宅購入ローン減少、賃貸料減額のため】所得税、社会保険料負担が減額になります。(3)万が一会社が倒産しても、配偶者が本体会社の連帯保証人になっていなければ、配偶者社長の資産に法的な追求はなく、実質的に経営者の自宅は確保できます。

 この場合、次のような条件を付け、第三者や経営者本体の利害関係者に法的追求を受けない配慮が必要です。詳細は顧問税理士・弁護士に確認されることをお勧めします。

(1)配偶者の会社と経営者の会社は債務保証を相互にしない。
(2)役員関係、資本関係なし。
(3) 配偶者の会社の資本は原則として配偶者全額出資(第三者の自宅関与をさせないため)。


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