経営支援徒然帖

商売の原点…行商を理解する

(16/08/10)

 今はほとんど見かけなくなりましたが、昔は田舎で仕入れてきた大きな荷物を電車で背負い、街で売り歩く行商のおばあさんを良く見たものです。1万円で仕入れ、1万5千円で売り、5千円の儲けで、また明日1万円で仕入れるといった、売ることの繰り返しの中に商売の原点が詰まっています。

 行商には売掛金や在庫はありません。今日仕入れたものを現金で販売し、売り切るので、在庫もないのです。値付けもありますが、最高5千円の儲け、売れ残りは廃棄するか自分で食べるしかないので、食べる分を残し、半値やタダ同然で売ることもあります。体の続く限り、よっぽど売れない日が続かない限り倒産はしません。借金もしていないので倒産はなく、廃業あるのみです。

 日本では見かけなくなりましたが、後進国のアジア各地にはまだまだこんな行商の方はたくさんいらっしゃいます。 「商売の原点は行商である」とは、なるべく現金販売、手形や売掛金販売をしない、在庫を極力持たないことが倒産しないコツだと覚えておいていただきたいからです。

 卸売業や建設業の倒産が、飲食業の倒産よりはるかに多いのは、卸売業や建設業の方が、手形決済が多く在庫が多いからなのです。