経営支援徒然帖

原価計算を忘れずに
(14/01/07)

 以前、ライフネット証券が行った「保険料の原価を公開」が話題となりました。保険料の中身が「純保険料」と「付加保険料」とで構成されていること、さらに付加保険料とは保険会社の経費(人件費、店舗家賃その他の一般経費)であることを明かしたからです。(ライフネット証券はこの“付加保険料の削減=経費削減”を可能にしたため保険料も安くできるとのことでした。)

 また先日、テレビ番組で「紳士服のアオキ」の青木会長が出演し、セール等でよく目にする「同時に2着を購入すると、2着目は1000円!」の販売手法の種明かしをしました。スーツの原価は「生地代」のほか「縫製部門の人件費・テレビCM等広告料・販売員人件費・店舗家賃」などがあり、これらの原価は実は1着目のスーツの原価として既にお客様から代金をもらっている。つまり2着目のスーツの原価としては「生地代・縫製部門の人件費」等の直接原価だけを計算すれば良く、広告代や家賃部分の原価はいらない。だから2着目は安くできるのです」とのことでした。

 貴社では「原価計算」をしていますか?

 もし新商品の値段や新サービスの料金を「経験と勘」で決めているのであれば、売れば売るほど赤字になる(既存事業の利益が減る)リスクもあります。一度原価計算をしてみてはいかがでしょうか。

 面倒な計算は必要ありません。

 家賃は事務員給与などの固定費は既に現状の商品で回収していると仮定して「変動費」だけを検討します。変動費として、

1.直接原価つまり仕入代金(サービス業ではゼロ円です)
2.販売員の給与(販売と事務の両方を行う社員であれば50%で可)
3.営業店舗の家賃
4.その他“販売のために直接かかる高額な費用”

の4つを合計すれば結構です。

 これだけで変動費の8割〜9割を占めます。そしてその原価に必要利益を加えたものが1つの販売価格といえます。(この積み上げ計算した販売価格が市場に受け入れられるかどうかの検討は別途必要です。)

 “原価”を意識した経営で、高付加価値企業を目指してください。