経営支援徒然帖

銀行から見て問題のある決算書
(13/12/05)

1. 銀行は損益計算書と同様に貸借対照表に注意します。

2. 銀行が企業審査をする際には、業暦・業績・経営者の能力・人柄等、多様な側面を見ますが、決算書に限っていえば幾つかのポイントがあります。


銀行が見る決算書のポイント

1.資産内容は健全か

 企業は“利益を出しているか”がもちろん大事なことです。しかし、利益と同様に重要な点は資産内容の健全性です。貸借対照表上の多大な役員貸付金等は、回収の可能性に懸念がもたれます。同様に多額な仮払金等についても、融資したお金が他に流失しているのではと疑われます。売掛金や未収金で長期に滞留しているものについては、現金と同様粉飾決算の疑いがもたれます。

2.不健全な借入はないか

 銀行等は、いわゆる街金からの借入金のある企業への融資はしません。また、融通手形が存在する場合も同様です。負債の部の借入金の内訳の借入先に多大な関心を持っています。支払手形の相手先と同じ受取手形があれば融通手形の発行と疑われます。

3.各決算期の比較

 銀行等は通常3ヵ年程度の決算書を要求しますが、各期間における、粗利益率・在庫回転率・人件費率等に大きな変動があればその原因を確認します。

 日本では中小企業の中ではまだまだ「借金も信用という財産だ」という考え方と“支払利息が経費”ということもあって、借入に対する判断が安易な面があります。借入金の前提として、資金繰り表・経営計画・新規事業計画等が存在した上で、計画と実績検討から、2段・3段の防波堤と撤収、転換判断等も考慮すべきです。

 一般的に、サラリ−マンが1,000万円の借金をするのは、住宅ロ−ン以外にはないでしょう。しかし、経営者の1,000万円等はあっというまです。戸板一枚の船で荒波を渡っていくのが経営者です。馬鹿な私利私欲や公私混同など、やっている暇はありません。