経営支援徒然帖

業務の合理化
(13/10/08)

 ある多店舗展開をしている会社の経営会議に出席しました。営業の媒体にチラシのポスティングがありますが、経費削減のため、店員自らポスティングをしているとのこと。外部委託するとポスティングは一枚3円程度です。

 時給1,000円の従業員をポスティング業務に従事させると、1時間に333枚、1分につき5.5枚チラシを配布しなければなりません。配布エリアによっても異なりますが、かなり厳しいノルマだと思います。私も一度、一日選挙チラシのポスティングの手伝いをしたことがありますが、慣れていない業務にとても疲れた一日で、正直もう懲り懲りでした。

 餅は餅やと申します。素人は玄人には敵いません。ポスティングを経験したことのなるほとんどの従業員は本来の業務以外に疲れてしまいます。こういった業務が続くと本来の業務がいい加減になってしまうものです。

 市場縮小している今、費用的にもこういった業務は外部委託した方が安くなります。一見従業員の単価は安いですが、業務の質とスピードから見るとかなり高くつきます。

 また従業員が辞めてしまい新規募集したとしても、協力業者はすぐに見つかりますが、質の良い従業員はそう簡単には集まりません。

 業務を「必要な業務」「無駄な業務」を分けることはよくあると思いますが、これでも業務の合理化に行き詰まっている会社も多いことでしょう。

 切り口を替えて「社内の従業員にしかできないこと」、「業務委託しても差しさわりないこと」に分けてはいかがでしょうか。

 上記のポスティングしかり、他の業務しかり、人間は外部に払っているものには厳しい目でチェックするものです。しかし、内なる無駄には目をなかなか向けません。

 会社の中で一番高くて管理しにくいのが人件費です。

 得意でない業務を社内で抱えるよりも安ければ業務委託し、貴重な人材をもっと大切な業務に従事することができればより良い結果が生まれるのではないでしょうか。また、最低限の社内業務量を知っていると、将来欠員が出たときにその補充が必要なのかどうかの大きな判断材料になると思います。