経営支援徒然帖

会社を強くする経理の条件
(11/03/03)

 経理は税務署のためや銀行のためにあるものではありません。

 経理本来の役割は、会社の将来のための必要な数字を経営陣に提示することです。

 経理担当者は、月次決算書はもちろんのこと、部門別、支店別、現場別、店舗別、個人別等々の予算・実績差異分析、予想実績推移等々の今後の経営の意思決定に役立つ経理情報を発信することが一番大事な仕事です。

 現在多くの会社は厳しい状況にあります。こんな時こそ、経営者は経理担当者に経営上の危険信号、何が問題なのか、今会社を取り巻く状況の中で何が起こっているのか知りたいのです。


 たとえば、事業年度最初に各店舗等で、売上予算が作成されます。ただ単に前年度105%アップという月次予算では、実績と対比してもあまり意味がありません。

 まず、年間営業日予定表を作成し、月間営業日数を確定し、営業日数×目標客単価×席数×回転率、さらに単価の大きく違う、ランチと夜に区分して、毎日の予算、月次売上計画をち密に作成することが基本と言えます。

 このような月次予算を作成し、実績、営業結果と比較することによって、会社の経営上の問題が浮かび上がってくるからです。それに、予算に対して90%としか達成しなかった場合、単に10%売上減少ではなく、営業日数、客単価、客数、何が原因であったのかの分析ができます。


 経営上の判断として、客単価を上げるのか、客数を増やすのか、営業日数を増やすのか、逆に営業日数を減らす、昼のランチをやめる、客単価を上げた方がいいのであれば、メニュ−、品質等を上げるのか、色々な検討課題、問題意識、マ−ケッテイング、社員教育等々の問題点が浮かび上がってきます。


 経理の本来の役割は、お金という血液の流れを正確につかみ、会社が現在どのような状況になっているかを正しく経営陣に迅速に告知し、経営のかじ取り資料を作成することにあります。わが社には何が問題なのか? それさえ判れば、問題解決はそう難しくはありません。


 一番ダメな経理担当者は、経営陣に迎合し、真実の数字を曲げ、事実を隠ぺいし、誤った経理情報を発信し、会社を倒産に導くことへの無自覚な人間です。

 「良薬は口に苦し」。

 経営陣に煙たがられる程度の経理担当者は御社の宝です。また、そのような苦言を理解できる経営者でありたいものです。