移転価格リスクへの対応策〜移転価格文書化
(11/12/08)
平成22年税制改正により移転価格文書の内容の明確化が図られ、財務省令(租税特別措置法施行規則第22条の10)においてその具体的な内容が定められました。財務省令で定められた書類の範囲は「国外関連取引の内容を記載した書類」及び「国外関連取引について法人が算定した独立企業間価格に係る書類」となっており、その概要は以下のとおりです。
1)「国外関連取引の内容を記載した書類」
- 取引に係る資産の明細・役務の内容
- 取引において双方が果たす機能・負担するリスクに係る事項
- 取引において使用した無形資産の内容
- 取引に係る契約書又は契約の内容
- 取引の対価の額の設定方法、設定に係る交渉の内容
- 取引に係る損益の明細
- 市場に関する分析その他市場に関する事項
- 関連者双方の事業方針
- 取引と密接に関連する他の取引の有無及びその内容
2)「国外関連取引について法人が算定した独立企業間価格に係る書類」
- 選定した移転価格算定方法、選定理由、その他独立企業間価格を算定するに当たり作成した書類
- 採用した比較対象取引等の選定に係る事項、比較対象取引等の明細
- 利益分割法を選定した場合の関連者双方への帰属金額を算出するための書類
- 複数の国外関連取引を一取引として独立企業間価格の算定を行った場合の理由及び各取引の内容を記載した書類
- 比較対象取引等について差異調整を行った場合の理由及び方法を記載した書類
上記財務省令で定められた書類について、一般的には以下の項目が記載された移転価格文書を作成します。
項 目 |
内 容 |
事実分析 |
分析対象となる関連者の概要、資本関係、グループの概要、組織構造、各関連者の損益状況及び属する業界の概要等の基本的事実の分析 |
関連者間の取引
状況 |
商流図を作成することにより、関連者間取引の取引形態及び取引フロー、取引額、価格設定方針、価格交渉過程等の状況 |
機能・リスク分析 |
分析の対象となる取引を行っている関連者の機能及びリスクの分析 |
経済分析 |
上記分析結果に基づき、分析対象取引における適正な移転価格算定方法の決定、比較対象企業取引の選定及び利益率レンジの算定等の分析 |