移転価格税制とは

移転価格税制の概要

(11/12/08)

 移転価格税制とは、資本関係等のある関連者間の取引価格を操作することによって、特定の関連者の得るべき所得が他国の関連者に移転することを防ぐことを目的とするものです。結果として海外に所得移転が行われているケースを問題としているのであって納税者に租税回避の意図があったかどうかは問われません。

 移転価格税制上、関連者間の移転価格は、「独立企業間価格」、すなわち独立第三者間であるならば付されたであろう金額でなければならないとされています。移転価格と独立企業間価格が乖離した場合について、納税者の申告所得が減少する場合のみが問題視され、逆のケース(所得流入)については通常取り扱われません。検討は原則として事業年度ベースでなされます。また、当該取引の対価の額と独立企業間価格との差額については、損金の額に算入されません。

 具体的に、日本親会社が製造原価50で製造した製品を中国子会社に100で販売し、中国子会社が顧客に150で販売するケースで考えてみます。


 上記のケースで親会社から子会社への販売価格を80に下げた場合、日本、中国及び合計所得を示すと以下のようになります。この場合には、日本の所得が30に減少し中国の所得が70に増加します。つまり、親会社から子会社への販売価格を操作することにより、日本の所得を意図的に減少させることが可能です。このような操作の結果、日本からの所得の海外移転に対処するため移転価格税制が整備されています。

販売価格
(日本親会社→中国子会社)
日本側所得 中国側所得 所得合計
100 50 50 100
80 30 70 100

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