電子請求 請求書の電子化を推進することで「生産性向上」「時短」「コスト削減」を実現すると共にペーパーレスによる「地球環境の保全に貢献」します。

【コラム】税理士・会計士から見た企業経営と電子請求

稼げる経営者の創造が会計人の新たな使命

1.中小企業の経営者は10人中2人しか決算書が読めない?

 「〇円で仕入れたものを△円で売ることで◇円の利益がでる」「これを〇個売ることで、△円の固定費を回収する」。商売をする上でとても大切な筋書きです。さすがに自社の筋書きを言えない経営者はいないでしょう。しかし、筋書き通りに事が進んでいるかどうかを正確に把握している経営者は多いとは言えません。特に中小企業の経営者においては、営業好きの経理嫌いというタイプが多く、以前「月次決算は銀行のために行う」と言われたときには愕然としてしまいました。批判を承知で言わせていただけば、私は国内法人の10社中8社が赤字申告という現況を鑑みて、社長の10人中8人は決算書を読めないのではないかと推察しています。決算もしくは月次決算での業績の検証こそが、自社の経営の筋書きが正しかったか否かの把握につながるからです。


2.今も昔も業績のいい会社の本質は変わらない

 私は税理士登録をして17年になります。バブル崩壊後に会計業界に飛び込み、その後ITバブルや企業再生ブーム、リーマンショック、そして最近のアベノミクスなどを会計の専門家として経験してきました。いつの時代も中小企業の置かれる環境は厳しいと言われています。17年前も現在もそうです。しかし、環境が厳しいのは大企業も変わりません。大企業にも赤字会社は存在します。中小企業にも長く黒字経営を続けている会社もあります。私の顧問先に、社長1名で創業した会社が20年かけて株式公開を果たした事例もあります。業績のいい会社というのは、会社の規模や属する業界、地域に関係しているのではなく、高い経営能力を持つ会社であるという本質は今も昔も変わりません。


3.なぜ検証作業を怠る経営者が多いのか

 では、経営能力のある経営者というのはどのような素養をもっているのでしょうか。私も17年の間に多くの稼げる経営者とお話をさせていただきましたが、稼ぐための必要最低条件ともいえる共通項がありました。それは決算書や試算表が読めるということです。前述した上場を果たした社長などは毎月の試算表が無ければ気が狂いそうになるとまで言っています。言い換えれば、自社の現状を冷徹な目で分析するということは会社経営の1丁目1番地であるということです。しかし、現状においてはこの最低限のことができていない会社が非常に多い。その主な理由として、社長に会計に関する知識が乏しいということが挙げられます。さらに私が感じることは、営業畑の経営者にとっては経理業務の優先順位が低いため、コストをかける価値を感じておられないのではないかということです。


4.会社を取り巻くインフラ環境は進化し続ける

 私が会計事務所に入社した当時、事務所内には大きなオフコンが鎮座していました。高級車1台分の金額がかかると所長から聞かされましたが、その10年後、私が退職する際にはパソコンの値段が大きく下がり、オフコンなどを購入せずとも独立開業ができるような時代になっていました。そしてさらに10年後の現在、インターネット環境が整備されクラウドビジネスが成長期を迎えています。財務会計ソフトもPCにインストールするのではなく、クラウド上にあるものを利用するという形態に変容しつつあります。コストもさらに下がり、WEB上にある銀行口座などと連動して自動的に起票する機能など従来では考えられなかったことが標準化されつつあります。


5.環境の変化が会計人の使命も変えていく

 低コストで経営の検証を早期に行うことが可能となる環境が整いつつあります。社長が営業で忙しい状況下にあったとしても、ネット環境があれば場所と時間を選ぶこともありません。会計だけではありません。クラウドストレージボックスの活用や、エコマートの推奨する電子請求書プラットフォームの活用などで、すべての経営管理資料がいつでもどこでも閲覧、活用できるのです。我々会計人も最新の情報を随時キャッチし、社長にその活用を促すことで顧問先の社長を稼げる経営者に変えていくという新たな使命を課せられていることを自覚する必要があると思います。



プロフィール
岡村 景明(おかむら ひろあき)

税理士
1970年生まれ
平成10年税理士登録
平成16年岡村税理士事務所開設
近畿税理士会理事
近畿税理士会紛議調停委員会副委員長
近税正風会青年部事務局次長
あんしん経営をサポートする会代表幹事