電子請求 請求書の電子化を推進することで「生産性向上」「時短」「コスト削減」を実現すると共にペーパーレスによる「地球環境の保全に貢献」します。

【コラム】税理士・会計士から見た企業経営と電子請求

成長戦略を描く未来会計と
電子請求書プラットフォームの活用


1.バランスの取れた成長戦略の必要性

 「企業の発展のために成長戦略をいかに描くか」ということは、経営者にとって重要なことです。しかしながら、多くの経営者が企業の成長戦略を描くことができないのではないかという不安を抱えています。これは、消費者ニーズの多様化やグローバル化など経営環境が激しく変化しており、これまでのように過去の成功体験や経験によって将来の成長戦略が描けなくなったことが要因のひとつです。

 このような時代において、成長戦略を描くために必要なことは、経営者の意思決定の必然性を高めることです。企業は将来どうなりたいのか、企業の存在意義は何か、社会へどのようにして貢献していくのか、これらのことを経営者が自らの意思で決めていくことが重要となります。

 景気は回復傾向にあるように思います。このようなときは、時価純資産額の増大、営業利益の最大化などの企業の経済的な価値ばかりが注目されがちですが、企業の持続的な成長を実現するためには、企業の存在意義に立ち返り、組織的な価値の向上や環境への貢献など、企業の目的を実現するためのバランスが取れた成長戦略を描くことが必要であると考えます。


2.成長戦略を描くための意思決定をサポートする未来会計

 電子請求書プラットフォームは、企業や社会の生産性の向上、時短、コスト削減などの組織的な価値の向上やペーパーレスによる地球環境保全に貢献するとともに、経理業務の効率化、決算早期化の実現にも役立つことが期待されています。

 生産性の向上など組織的な価値の向上や環境への貢献は、どの企業にとっても重要な課題です。その中でも、私はこの電子請求書プラットフォームが、企業の成長戦略を描くための意思決定をサポートする未来会計の導入に役立つと考えています。 未来会計は、「経営者の意思決定をサポートする会計の体系」と定義しております。未来会計の導入により、経営者の意思決定をサポートする情報を提供できる仕組みを構築し、経営環境が激しく変化する時代においても、経営者の意思決定の必然性を高め、自社が進むべき未来の姿を成長戦略として描くことができるのです。

 具体的には、経営者が実現したいと考える会社の未来の姿を成長戦略として経営計画に描き、PDSサイクルの構築を通じて実現をサポートします。しかし、より効果的な未来会計を導入するための企業の体制を整える必要があります。私は、特にその体制を整えるために電子請求書プラットフォームの活用が効果的であると考えます。


3.未来会計の導入による電子請求書プラットフォームの活用

 未来会計は、経営者の意思決定をサポートする会計の体系を構築することを目的としており、その導入にあたっては、(1)経理業務の自計化、(2)決算早期化の実現が重要となります。以下では、電子請求書プラットフォームがどのように活用できるのかをご説明します。

(1)経理業務の自計化

 未来会計にとって、会計データは経営者の意思決定をサポートする重要なデータです。会計の目的は、資金の計算だと思われがちですが、会計の本来の目的は企業の行動を記録することにあります。そのため、自社で経理を行い、日々の企業の状況を記録し、必要なときに経営者の意思決定に役立つ情報を提供できる体制を作ること重要となります。大企業では社内で経理を行うことが当然ですが、多くの中小企業は、経理業務は良くわからない大変であるなどの理由から会計事務所などへ委託していることが多いのが現状です。

 現在の経理業務の多くがIT化により効率化されています。しかし未だに手作業となっているのが請求書業務です。請求書業務は、手作業による仕訳入力や紙による保管が必要となり、経理担当者にとって負担も大きく自計化への課題となっています。

 電子請求書プラットフォームは受け取った請求書を会計ソフトへ自動仕訳する機能があり、さらに電子帳簿保存法に対応しているため、データ上での保管が可能です。そのため、電子請求書プラットフォームの導入は、経理業務の自計化や効率化に大きく貢献できるものと考えます。

(2)決算早期化

 未来会計は、経営者の策定した経営計画に基づきその計画が実行できているか、月次決算の数値を実績として比較します。会計の数値は、企業の行動を記録したものですから、その一ヶ月の行動記録を経営計画と比較しながら検証し、次月に必要な行動を考えるために重要なデータとなります。そのためには、月末後の早い時期に決算が確定していることが必要となります。しかし、多くの企業が月末後にすぐに決算を確定することが難しいのが現状です。この一番の原因は経理に請求書がすぐ集まらずに数値が確定できないことにあります。

 電子請求書プラットフォームは、この問題の解決に役立ちます。請求書をプラットフォーム上で管理することにより、社内の請求書を集める手間がなくなる他、取引先から郵送も不要となります。請求書の紛失といったトラブルからも開放されるのです。したがって、決算早期化に対する電子請求書プラットフォームの貢献は大きいと考えます。


4.最後に

 電子請求書プラットフォームの導入は、未来会計の導入に役立ち、経営環境が激しく変化する時代において、経営者が成長戦略を描くことに貢献するとお話しました。さらにこの電子請求書プラットフォームは、人と繋がることにより効率化を実現するシステムのため、1社の導入により、その企業と取引をする企業の業務の効率化やエコにも貢献できます。

 これから先の10年後の将来の姿を考え、その姿を実現するためには今何をするべきか、今一度、企業の存在意義に立ち返りながら、検討してみてはいかがでしょうか。



プロフィール
西脇 敬久(にしわき たかひさ)

公認会計士
1983年5月12日生
専修大学大学院経営学研究科修了
株式会社日本BIGネットワーク(※1)所属

(※1)株式会社日本BIGネットワーク
未来会計を推進する全国の会計事務所が共同出資にて設立したコンサルティングファーム