経営者・経理総務担当者向け 実務月刊誌ビジネス支援 第221号

 ≪CONTENTS≫

 今月の特集・・・ 『経営について』
 経理・税務・・・ 『年末調整について』
 経営・財務・・・ 『投資話に安易に乗るな!!平成29年度税制改正に注目』
『百億円でも配偶者だけなら無税』
『平成28年税制改正加算税制度の二つの見直し』

バックナンバー



 今月の特集

経営について
寄稿:株式会社新潟ビルサ−ビス 代表取締役 鈴木英介氏
はじめに

 サービス業はお客様の求めるものを形にするのが仕事です。ビジネススクールなどでは「顧客の創造」というような事を言います。だからと言って勝手に計画(願望)して創造できるはずもありません。計画する前には分析が必要だと思います。もちろん分析の為には調査が必要です。でも調査も分析もせず、計画を立てる人が多いのです。多くの企業の経営計画書などはそんなものです。

 分析と言うと流動比率、自己資本比率、総資本回転率などの企業の財務分析の事を思う人も多いと思いますが、私の言っているのはそれではありません。その企業の置かれている社会経済の情勢分析の事を言っています。つまり私たちの企業はどのような環境に置かれているのかという事です。それが分からなければどちらに進んでよいか分からないでしょう。

 今まで新しい産業は次々と生まれてきました。ビルメンテナンスという仕事も新しい仕事です。それらが業として成り立つのは、戦後、木造建物が次々とビルに代わってきたからです。その時、ビルは今後増えると分析するのか、増えないと分析するのかという事です。

 情勢分析のない経営計画は願望にすぎません。たまたまその願望が当たる事もあるでしょう。しかしそれ以上の確率で外れる事も多いのです。失敗した人は口をつぐんでいます。成功者はたまたま運が良かっただけです。そのような成功者が多かったのが、過去の高度成長時代です。この成功体験は聞かない方が良いと思います。願望を掲げ、がむしゃらに実現を図るなどという話が多いのです。

 だから経営計画は立てません。調査分析し、自らの立ち位置が分からなければ、どちらが前でどちらが後ろか分からないでしょう。どちらが前か分かれば、進むべき方向が分かります。それが重要なのです。「何歩、何メートル、何時までに進む」などという目標を立ててもしょうがないのです。このような数値目標にこだわる人は前も後ろも分からない人なのです。私達はゆっくり進んでいいのです。 大事な事は前後を分別し、前に進む事なのです。

会社の目的とは

 昨年東芝で不適切会計が発覚しました。利益の水増しです。この時私の妻は「利益を水増しするという事は税金をいっぱい払う事だよね。どうして?」と聞きました。まさに主婦感覚です。お金は、税金は少なく払いたいのが人情ではないでしょうか。主婦であればAスーパーの百円の大根より、Bスーパーの八十円の大根を買いたいと思うでしょう。これは健全な経済感覚です。

 ところが東芝では利益を偽ってでも、税金を沢山払いたかったのです。まさに納税者の鏡ですが、本当でしょうか。経済感覚がマヒしたためでしょうか。それとも他の隠された意図があるのでしょうか。

 普通の場合、後の方です。つまり利益が多ければ株価が上がります。配当もできます。そこで株価を吊り上げ、売り抜けるという事があります。もちろんこれは違法ですがありそうな事です。そのため株価操作で旧経営陣を訴えるという話もあります。当然東芝の株は下がりました。

 ところが東芝の場合、これを主導した人は大して株も持っていないし、株を売り抜けた形跡もないのです。じゃあなぜと思います。「正常な感覚がマヒしていた」とよく後になって言います。しかし天下の大東芝の経営者が主婦の経済感覚以下なのでしょうか。私のような中小企業経営者には不思議な話なのです。

 この東芝の事件は、調査も現状分析もなく、売上(利益)計画だけがあった事の結果ではないでしょうか。いつの間にか目的と手段がすり替わっていたのです。もし大企業がそのような隘路にあるとすると困った事だと思います。

 また海外ではフォルクスワーゲンの排ガス不正問題がありました。これも同根の問題だと思います。私は売り上げや利益は事業の結果であり、良い仕事をすれば、それについてくるものであると考えております。違法行為を行い、あるいは虚偽売り上げを作る事は企業の役割ではありません。価値のないものを高く売ったり、やりもしない仕事からお金を取ったりすることは詐欺行為であり、事業ではありません。

 また闇雲に売上(利益)目標を立て、「気合いだ!」と言う事は、経営とは言えません。後ろに気合いで進んでも、売上も利益も出ないからです。当社が経営計画、目標を立てないのは、前を向くことこそ大事だと思っているからです。 多くの人はその目標はなぜ正しい目標であるのか、何も語りません。それが正しい目標であることが明らかになれば、皆自ずとその方向に進みます。

 なぜなら会社には最初から目的があるからです。何をするのかわからないという会社はありません。何かの目的を行うために会社を作るのです。それは定款に書かれ登記もされています。それが家族や親せき、隣近所の人間関係と違うところです。

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年末調整について

 12月は年末調整の時期です。この時期になると「年末調整ってアルバイトもパ−トもやらなくてはいけないのか?」 「中途入社や退職者はどうするのか?」 などの疑問も多くなります。

●年末調整とは

年末調整は、毎月の給与から差し引かれている源泉徴収税額の合計額と年税額との過不足を精算する、給与所得者の確定申告のようなものです。

●年末調整の対象者は

 年末調整の対象になるかどうか以下のフローチャートを参考にしてください。

●年末調整はいつまで?

 年末調整は、全社員の必要書類を収集して初めてできます。「年末調整」の時期は言葉通り、通常12月の本年最後の給与または賞与を支払う時期に行います。会社側では、11月に年末調整用の申告書の入手から翌年1月31日の法定調書・合計表の提出まで、およそ3ヶ月にわたって手続きが必要となります。

●11月下旬

年末調整用の申告書と必要書類の準備

●12月上旬
●12月中旬
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投資話に安易に乗るな!!平成29年度税制改正に注目
金融機関の投資話に安易に乗るな!!

 マイナス金利の現在、金融機関は収益源を貸出金利よりも、利益の出ている会社に節税目的、お金が積みあがっている会社に投資話を盛んに勧めています。「現金のままだと何の利益も生まないですよ。資産運用しましょう。等々」経営者の心を上手におだてながら、「保険・不動産・証券・外貨預金・海外投資」等を勧めてきます。しかしこれには安易に乗らないようにしましょう。

 金融機関はマイナス金利で利息を得られない代わりに手数料商売に走っています。投資運用会社でもない素人の私たちが他人にお金を預けて利益を得ることは不可能です。

 普通なら「儲け話」を人に教えたりはしません。「絶対に損しません」と言うなら自分でやれば良いのです。

本業で儲けたお金は本業で運用すること、この教訓こそ、私たちが「バブル崩壊」で得た貴重なものではないでしょうか。

 もちろん本業での設備投資・新規事業展開・新規出店・社宅の所有等々は会社の発展に大きく寄与するものです。マイナス金利の現在、新規起業、新分野進出等は積極的に行うべきです。特に日本政策金融公庫の「中小企業経営力強化資金」は2000万円まで経営者の連帯保証、自己資金0円からでも融資可能です。(経営革新等支援機関の指導や助言を受け、事業計画立案、予実管理等などが必要になります)

 しかし、本業と何の関係もない不動産投資、株への投資で損失を出し、もちろん個人資産を預金・不動産・株式・投資信託・地金等に分散投資されることは自己責任の範囲で運用されればいいことです。これらの投資話についても顧問税理士等によくご相談ください。

 むしろ多くの経営者は2020年の東京オリンピック以降の景気後退を懸念しています。ギリシャ・中国・ロンドン・ブラジル等オリンピック終了後の姿を見ていれば長期的な設備投資に躊躇せざるをえないのです。

 マイナス金利とミニバブルに湧く大都市圏の建設 ・ 製造 ・ 飲食・ 小売業等では、2020年までに稼いで@借金を返済するA現金を貯めこむ=定期預金化をしています。

良く考えれば資本主義とはお金がお金を産む社会です。不況でみんなお金がなく資産を切り売りせざるをえない時に安値で買い叩くことがお金持ちに

 なる簡単な方法です。ですから現在のような低金利でお金が市中に溢れミニバブル的な時期に投資をするのではなく、現金を貯めこみ、不況で価格が下落したときに不動産や株を買えばいいのです。

 「バブル崩壊」の貴重な経験をした多くの経営者は、損益計算書や貸借対象表だけではなく、資金繰り表を読まれ、資金繰りの先行管理をされています。成り行き経営は大変危険です。

 また、金融機関に乗せられての無謀な投資は会社を倒産に追い込みます。現在の法人税の実効税率は800万円までは23%程度、800万円超でも35%前後です。これは史上最低の税率です。

 戦国時代を切り開いた伊勢新九郎=北条早雲は下克上の代表と言われてきましたが、駿河の今川氏に嫁いだ妹の子共の後見人から、伊豆堀越公方を追放して伊豆一国を支配しました。そのときこれまで6公4民だった年貢の割合を4公6民にして伊豆の人々を歓喜させ、後に小田原を中心に関東全域を支配する戦国大名になりました。現在の税率は会社に限って言えば35%程度とその善政に匹敵する負担と言えます。

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百億円でも配偶者だけなら無税
配偶者の税額軽減

 相続税では配偶者に対する税額軽減措置があります。被相続人の配偶者が取得した相続財産の課税価格が1億6千万円以下、又は配偶者の法定相続分相当額以下である場合には、配偶者に相続税はかかりません。 もし相続人が配偶者のみの場合はどうなるのでしょうか。相続人が配偶者のみの場合には、配偶者の法定相続分は100%です。そうすると、相続財産が100億円とか1兆円とかの場合にも、税負担額はゼロということになります。

相続人が配偶者のみという状態

 相続人が配偶者のみという状態は、親や子や孫、そして兄弟姉妹や甥姪もいない被相続人だったという場合だけでなく、他の相続人が相続放棄をした、又は他の相続人が相続欠格・相続廃除になった、という場合にも起き得ることです。

平成28年税制改正加算税制度の二つの見直し

  「最近、税務調査がこないな…」と感じられている経営者の方は多いのではないでしょうか。国税庁が公表している法人税の実地調査件数は、平成17年事務年度には14.3万件でしたが、最近は10万件を切り、平成26事務年度では9.5万件となっています。

 これは、平成23年に国税通則法が改正され、税務調査手続が法整備されたこと(事前通知の法定化等)が少なからず影響を与えているものと考えられます。その一方で、近年、国税当局は、法定調書制度を拡充(国外財産調書・財産債務調書)し、財産情報の収集を強化しています。これら調書に記載のあるものは加算税を5%軽課したり、記載がないものは5%重課したりと、調書制度と加算税制度のリンクも図っています。 




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