経営者・経理総務担当者向け 実務月刊誌ビジネス支援 第219号

 ≪CONTENTS≫

 今月の特集・・・ 『経理は営業・技術と並ぶ会社の3本柱』
 経理・税務・・・ 『毎年の恒例?!「配偶者控除の廃止」とはどんな内容?』
 経営・財務・・・ 『あなたの会社は大丈夫? 不正経理の手口&対策』
『民間の労災保険 使用者賠償責任保険』
『合同会社の活用法』

バックナンバー



 今月の特集

経理は営業・技術と並ぶ会社の3本柱
1.税務調査とは

 今をときめく世界のホンダやソニーも昔は町工場にすぎませんでした。

 小さな町工場が大きくなっていくには、経理がしっかりしていなければなりません。経理を狭く考えれば、帳簿付けや金庫番です。しかし経理を広く営業・技術と会社の3本柱と考えれば、業務管理に近い、資料整理から資金繰り、経営助言業務として経営管理情報の提供まで広がります。下記の経理業務の全体図を参照していただければ明白ですが、経理業務の範囲は広く深いのです。

 もしかしたら「当社は小さな会社なのでこのような業務はありません」と言われるかもしれませんが、ちょっと待って下さい。すべての会社は、規模の大小を問わず、会社を創っただけでこのような業務が発生します。請求書の発行・整理整頓・振込み・現金出納帳の記入・給料計算・試算表・決算書・資金繰り表の作成等の仕事は、社長本人か経理担当者・会計事務所・社会保険労務士等への外注にしろ、このような業務が発生し誰かが行っているのです。もちろん1兆円規模の会社の経理と1億円規模の会社の経理は違います。乏しい経営資源、人的資源を上手に活用しながら、経理の広く、深い仕事を合理的かつ実質化していきたいものです。 

◎経理システム

1.どんな帳簿が必要なの?

【ポイント】

 会社は税務署・金融機関・株主等の利害関係者のために仕訳帳(仕訳伝票)総勘定元帳から決算書を作成しなければなりません。帳簿には主帳簿の総勘定元帳と補助簿があります。主帳簿は絶対に作成しなければなりませんが、補助簿は必要に応じて作成します。総勘定元帳も補助簿もパソコン会計で簡単に作成できます。預金・売掛金・立替金・未収金・貸付金・仮払金・買掛金・未払金等決算書の勘定科目内訳書に明細の記載が必要なもの程度は作成しましょう。雑収入の補助もあれば便利です。

 帳簿は手書ではなくパソコン会計で作成することをお勧めします。パソコン会計で仕訳入力すれば、総勘定元帳はもとより各種補助元帳も自動的に作成でき、しかも集計・転記間違いが絶対ありません。

◎帳簿の種類
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毎年の恒例?!「配偶者控除の廃止」とはどんな内容?
配偶者控除が2017年に廃止される可能性あり

 2016年8月、第3次安倍内閣改造後初めてとなる経済財政諮問会議を開かれ、9月から政府税制調査会及び自民党税制調査会も来年度の税制改正に向け議論を始めることとなります。

 今回はその中でも毎年検討されながらもいまだ実現しない「配偶者控除の廃止」についてみていきます。

 ご存知のとおり日本は少子化を背景にした人口減少による労働力不足が深刻な問題となっており、眠っている「専業主婦」や「パートタイム労働者」を労働市場に促すことにより労働力不足の一部を解消できないかと期待されています。

 現在既婚女性の収入分布をみると年収100万円付近に集中しており、この中には「これ以上働きたくないから働かない」のではなく、「これ以上働くと扶養から外れて損するから」という理由でセーブしている人も多いのが現状です。≪103万円を超えると自分の所得税を払わなければならないから(63.0% 複数回)、一定額を超えると夫の会社の配偶者手当がもらえなくなるから(20.6% 同)130万円を超えると配偶者の健康保険・厚生年金等で被扶養者からはずれ自分で加入しなければならないから(49.3%同)H23年パート外務労働者総合実態調査より≫

 配偶者控除の存在が勤労意欲をそいでいるという指摘と多くの識者から指摘を受けているものの、実際にはこの廃止は調整が難しく、配偶者控除の廃止が何度も先送りされてきました。なぜならこの改正は世帯によって損得が生じるためです。

 2017年税制改正の議論がスタートしたばかりなので、改革案は具体化していませんが、過去の検討から「配偶者控除の廃止」として3つの案が浮上します。(配偶者控除の廃止に際して、配偶者特別控除も検討されることが想定されるため、今回は配偶者特別控除の廃止も含めて考えていきます。)

 夫の会社からの配偶者手当について妻の年収が103万円未満又は130万円未満であることを給付の条件としている場合が多い。

 社会保険の加入義務は2016年10月から従業員が501以上の企業について下記従業員にまでの範囲に広がる。

 (1)週20時間以上(2)月額8.8万円以上(3)勤務期間1年以上(2019年10月以降は従業員500人以下の企業も対象予定)

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あなたの会社は大丈夫? 不正経理の手口&対策

 経理の不正はどこの会社でも起こる可能性があります。特に中小企業では経理が1人で長年任せきりになっている場合は、チェック体制がなければよほど経営者が経理に精通していないと不正発見は難しいと言わざるを得ません。経営者の多くの方も人を疑うのを嫌い「性善説」をとられる方がほとんどですので外部の専門家の活用を図りたいものです。月次監査には税務・会計チェックだけではなく不正チェックにも気配りしたいものです。代表的な不正の手口を掲載しましたのでぜひ参考にしてください。

(1)領収書の二回使用

 これは一度精算した領収書を翌月もう一度現金精算したように見せかけ、現金を引き出す手口です。現金出納を一人の経理だけに任せている場合にはなかなか発見できず、月一回の会計事務所の監査でも、仮払精算がずさんな会社の場合、発見は難しいことがあります。小口現金の毎月の借方、貸方の金額に注意し、貴社の毎月の小口現金の必要金額を概算でつかんでおくことが必要かと思います。

(2)領収書の改ざん 

 これは昔から現金不正のもっとも多い手口です。領収書の金額10,000円に1を付け足して、110,000円と改ざんしたり、白紙領収書に金額を書き入れたりと多くの事例があります。また、領収書がもらえない、交通費、冠婚葬祭のお祝い金、お香典の金額を多くして、会社からお金を引き出す手口です。この手口は、脱税の手口にもよく使われていますが、経理や経営陣が領収書をチェックし、支払を厳密にすれば防げる事例が多いようです。また、使う人の限度額等を決めておくこと、経理を公開して会社の数字を風通しよくしておけば、みんなの目があり、不正が防げます。少なくとも、現金支出には2人以上の承認を必要とすることです。

(3)簿外現金の不正流用

 アルバイトがアルバイト料を取りにこないから金庫等に入れておき、雑給/現金のままにしてしまうと、簿外現金【帳簿の記録がない現金】になります。目の前に何の記録もないお金が存在してしまうと裏金の始まりです。これと同じケースで、お客さんから送料をもらい、「簿外現金にしておいて使いこまれた」「社員の旅行積立金を簿外で預かり使い込んだ」等々。簿外現金は、一人の人の頭だけ管理になり、他の人も一時は覚えているが、段々と記憶から消え、簿外なので、会計事務所の監査対象にもならず、不正流用に至るケースが多くあります。

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民間の労災保険 使用者賠償責任保険
使用者賠償責任保険の契約者が増えている

 使用者賠償責任保険は労災認定された事案について、企業の安全配慮義務等を問われ法律上の損害賠償責任を負った場合に備えるものです。 近年はうつ病等による労災認定件数の増加、賠償額の高額化を背景に大手損害保険会社グループでも2015年の契約件数は前年度比率1.5倍となっています。この傾向は今後も続くと予想されます。

今後重要視される使用者責任保険

 労働基準法では業務災害で従業員が病気やけがを負った場合、会社は必要な補償を行わなくてはなりません。その為労災保険に加入し、従業員が業務災害を負った補償は労災保険から給付を受けます。労災保険から給付される事で会社は従業員に対する補償義務を免れる事ができます。

 しかし損害賠償責任を負った時、例えば死亡事故等の場合は遺族が会社に対し損害賠償請求を求める事があります。「使用者賠償責任保険」は労災保険給付を上回る補償の提供や和解金の支払いの為に利用する事ができます。ですから労災上乗せ保険と呼ぶこともあります。

合同会社の活用法

 企業が創造的な開発業務を行なう場合で、自社が保有する技術を補完するため、外部の企業、専門人材を集めてプロジェクトチームを編成する必要がある時、専門人材が自由にコミュニケーションを行ない、合意形成を図りつつ成果物を開発する組織運営が不可欠です。

 しかし、現実には労働法上のコンプライアンス確保を図るため、労働局の指導による大きな制約があります。

対応策は合同会社(LLC)の活用

 その制約を回避する現実的な対応策は、図示したように合同会社(LLC)を活用して、プロジェクトチームを編成することです。




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